暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

ミステリーじゃなくてサスペンス・アクションだけど面白いよ【蜘蛛の巣を払う女】感想

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78点

 

 

 『ミレニアム』3部作の続篇。時系列的には第4作になります。『ミレニアム』シリーズに全く思い入れが無い私が、何故本作を観ようと思ったのかというと、監督がフェデ・アルバレスだったから。この人は言わずと知れたあの『ドント・ブリーズ』の撮った、才気あふれる若手の監督です。『ドント・ブリーズ』が好きなのもありますが、観ようと思った最大の要因は、これから注目した監督の作品はできるだけ追っていこうと思ったからです。なので、2011年版の『ドラゴン・タトゥーの女』を鑑賞してから観に行きました。ちなみに、スウェーデン版は未見です。

 

 

 古典的なミステリ的内容だった『ドラゴン・タトゥーの女』と比べると、本作はよりジャンル映画っぽくなりました。つまり、バカッぽくなりました。いい意味で。ストーリーはかなり分かりやすく、爆発やバイクでのチェイスシーン、そしてスマホの普及に伴うハッカーの万能感や、ラストの荒唐無稽すぎる展開など、『ドラゴン・タトゥーの女』とは180度違う内容の連発で、そもそもミステリではなくてサスペンス・アクションになっていました。この方向転換に呼応するかのように、動きが無かった『ドラゴン・タトゥーの女』とは対照的に場所がどんどん変わっていきます。

 

 しかし、私はこれはこれで良いと思います。だって面白いし。勢力は大きく3つあるのですが、それらが入り乱れながらも話がこんがらがらず、スッキリ観られるというのは素直に感心したし、ハッカーの万能感もあそこまでやってもらえば逆に清々しいし、ラストの荒唐無稽すぎる展開もそれまでの逆境を考えれば逆転劇となって素直に気分が上がります。また、『ドント・ブリーズ』の監督なだけあって、建物の中のアクションが上手いなぁと思いました。

 

 

 アクション的には上述の通りですが、ストーリー的にはリズベットが自分の過去と向き合う話になっていました。タイトル的には、リズベットが自身の過去を振り払う話なのかと思われますが、実際には違います。冒頭にある、非常に暗示的な描写の通り、本作はリズベットが「蜘蛛の巣にからめとられる」話だと思います。ラスト、カミラは冒頭のリズベットと同じ行動をします。行動は同じでしたが、意味とその結果は対照的だったと思います。このラストのカミラの行動によって、リズベットは消えない呪いをかけられたような気がしました。

 

 以上のように、『ドラゴン・タトゥーの女』とはジャンルが全く違う作品でしたが、私は非常に楽しんで観る事ができました。