暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

ワンアイディアものの傑作【ソウ】感想

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85点

 

 

 ジェームズ・ワンの監督デビュー作。有名な作品ですが、私はグロが苦手なため、長らく敬遠してきました。なので、ラストも知っています。それなのに何故観たのかと言えば、『アクアマン』に備えるため。有名な方なので、監督作を追っていこうと思い、まずはデビュー作である本作から鑑賞しました。

 

 本作は誰がどう観ても低予算であることが分かる映画です。基本は密室から舞台が動きませんし、登場人物も少ないです。しかし、本作はこの「密室から脱出する」というゲーム的内容をそのまま映画にしています。そのため、作中には脱出や、真相解明のためのヒントがそこかしこに散りばめられています。ジグソウの正体についてもかなり注意深く観ていればラストのどんでん返しにも納得がいきます。一瞬映りますからね。また、非常にミス・リードが上手いのもこの映画が上手いと思う点です。ジグソウの正体だって、いきなりバーン!って出てくるから「そういうもんだ」って思ってしまいます。このように、本作は内容もそうですが、ミスリード、ヒントの出し方など、作りも非常にゲーム的な印象を受けます。

 

 これに加えて、密室の脱出ゲーム時の焦燥感の煽り方がとても上手いと思いました。これで余計にハラハラさせられます。

 

 さらに、密室だけでは飽きられると思ったのか、ジグソウの正体を追う刑事のエピソードも盛り込んでいます。ここではちゃんとしたアクションシーンが展開され、映画そのものに動きを加えています。

 

 しかし、本作で最も痺れたのは、ラストで明かされる絶望です。「実はこのゲームは最初から詰んでいた」事実は、これまでの彼らが、「出口のない道を進んでいただけ」に思え、我々もジグソウの掌の上で転がされていただけなことが分かり、上手い具合に騙されました。本当の大どんでん返しはここな気もする。

 

 このように、本作は、低予算が分かる作品ですが、それならばと面白くなる工夫を凝らしまくった作品で、それらがとても上手くいっていると思いました。