暇人の感想日記

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映画はアクションやってなんぼだろ!ストーリー!?知るか!そんなもの!!【ミッション・インポッシブル/フォールアウト】感想

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80点

 

 

 トム・クルーズが撮影中に足を複雑骨折したことで話題になった『ミッション・インポッシブル』シリーズ最新作。私はこれまでこのシリーズは観たことがなかったのですが、いい機会なので前作を観てから鑑賞しました。

 

 映画というのは不思議なものです。映画は、普通は「完璧」を求めて作られます。役者の演技、脚本、そして十分に設計されたアクション。これらの完成度が高ければ高いほど「良い映画」と言われ、評価されます。実際、『ダイハード』など、これらが満たされて名作と言われている作品もあります。

 

 しかし、中にはそれらのいずれかがあまりにも突出しすぎているがために人気を博し、評価されているものもあります。これには、ジャッキー・チェンの映画や、『燃えよドラゴン』や、『コマンドー』等が挙げられます。本作『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』は、これらの映画と非常に似ている気がします。それは、本作がトム・クルーズの体、というより、命を張ったアクションありきの映画で、その他の要素がガタガタであるためです。

 

 本作の最大の売り。それは、トム・クルーズがスタントマン無しで繰り出す、常識では考えられないアクションの数々です。前作でも「飛行機に掴まる」「バイク逆走」など、かなり危険なアクションをやっていましたが、本作でやっていることに比べれば、あんなものはまだマシな方です。本作で行われるアクションは、話題になったビル間のジャンプなどは生温い方で、やる意味がよく分からない高度7620メートルからのヘイロー・ジャンプ、ノーヘルバイクチェイス中に車に激突する、身一つでヘリに乗り込み、操縦するなど、一歩間違えば死に至るものの連続。さらに、トム・クルーズはこれをスタントマンに任せず、自らがやっているのです。また、撮影ですから、これは1回で終わるわけはなく、何回も撮り直しているそうで、ヘイロー・ジャンプに至っては105回もやったとか。これだけでも仰天モノですが、例の骨折の下りも、完治までに9カ月かかるところを公開に間に合わせるために6週間でとりあえず走れるようにして、骨折したままでラークを全力疾走で追うシーンを撮ったそうです。何つーか、トム怖い。何が彼をそこまでさせるのでしょうか。

 

 CGが発達し、何でも表現できるようになった現代。普通なら危険極まりないシーンも作れるため、役者の命を危険に晒すことなく映画を撮れるようになりました。しかし、それは所詮はまやかし。手に汗握る展開があっても、それは本物ではありません。本作はそれに対抗してか、「本物のスリル」を我々に感じさせてくれます。上述のような危険極まりないシーンをトム・クルーズが本当にやっているため、「イーサン死ぬんじゃないか?」というスリルが、「トム死ぬんじゃないか?」という本物のスリルとなるのです。だからこそ、イーサンの負傷もリアルに感じられます。というか、本当に負傷してるだろ、あれ。

 

 このように、トムの狂気(と言っていいと思う)によって、他に例を見ないアクション・シーンが作れました。ですが、本作はその代わりにストーリーがガタガタです。これは「アクションを先に撮って、後からストーリーを考えていった」という制作体制から考えれば、当然の結果だと思います。故に、前作以上にIMFが何をやりたいのかが分かりません。展開も、二転、三転するにはするのですが、それらはどれも後出しジャンケンで、伏線とかは特にありません。ホワイト・ウィドウが何がしたかったのか、CIA長官は何がしたかったのか、さっぱり分かりません。だから途中から何が何だか分からなくなり、最終的にどうでもよくなって「今起こってることをただ楽しめばいいや」と無我の境地に達することができ、アクションに集中できます。

 

 ただ、本作でやろうとしたことは何となく分かって、パンフレットでトム・クルーズが答えていたように、「シリーズの総決算」なのかなと。こう考えると、前作のイーサン・ハントを批評的に見つめ直した前作の続き、と言う本作の立ち位置もよく分かります。本作は前作から進んで、作品の総決算として、「イーサン・ハントとは?」を描いた作品なのかなぁと思いました。やっぱ全て観ないと何とも言えないなぁ。

 

 このように、本作はアクションは物凄いです。しかし、ストーリーがガタガタで、あってなきようなものです。シリーズの総決算なのも分かりますけど、やっぱり、ストーリーは大事だなと思いました。個人的には、ストーリーあってのアクションだと思っているので。

 

こちらは前作の感想です。

inosuken.hatenablog.com