暇人の感想日記

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スタッフが「いい!カッコいい!」と思っているものだけでできた快作【ニンジャバットマン】感想

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79点

 

・はじめに

 「スーパーマン」と並んでアメコミの代名詞的な存在であるバットマン。本作はそのアニメ化作品になります。注目すべきは本作はアメリカが制作したものではなく、ほぼ100%日本が制作した、日本産バットマンだということです。制作は『ジョジョの奇妙な冒険』のOPで一躍名を馳せ、近年では自称クソアニメ『ポプテピピック』のヒットも記憶に新しい神風動画。しかも物語の舞台は日本の戦国時代。どう考えても出オチ感漂う作品でしたが、集まったスタッフがスタッフだったこと、Youtubeで見た予告編が大変面白そうな雰囲気を出していたので、鑑賞しました。

 

・娯楽要素てんこ盛り

 結論として、非常に清々しい作品で、観ていて大変面白かったです。というのも、この映画、集結したスタッフたちの「これいい!カッコいい!面白い!」という要素のみで構成されているためです。従来のバットマンの装備はもちろんですが、城が変形したりヴィランが戦国武将と入れ替わっていたり、最後は巨大化するし絵柄が途中でガラッと変わるしで、気を抜くとこちらが置いてかれます。

 

 さらに、尺が90分ですから、これらの要素が怒涛の勢いで展開されていきます。次から次へと展開が変わり、その展開の速さはまるでジェットコースターです。しかもそこで起きる出来事が一々荒唐無稽です。よくよく考えれば、笑ってしまうか呆れるくらいに荒唐無稽です。しかし、そんな展開が矢継ぎ早に起こるので、観ているうちに感覚が麻痺してきて、終盤の五城合体VS巨大バットマンの下りは素直に燃えました。

 

 何故荒唐無稽なのに燃えるのか。それはスタッフがこういうツボを押さえていることと、自分が「カッコいい」と思って作ってるからなのではないかと思います。誰かが「カッコいい!」と本気で思って作ったものは観ていて楽しいものです。

 

・原作への真面目なリスペクト

 これだけだと、本作がイロモノ要素だけで終わっているように思えますが、実はそれだけではないのです。パンフレットや、各雑誌のインタビューを読んでみると、スタッフの原作アメコミ、派生作品へのリスペクトが随所にあることに気付きます。巨大化バットマンアダム・ウェスト版のTVドラマのバットマンですし、各種キャラデザも往年の作品をモチーフにして作り上げたそうです。また、日本のヴィランもただ無作為に戦国武将と入れ替わらせているわけではなく、それぞれ意味があるそうです*1

 

 これらの中で、一番リスペクトを感じたのは、バットマンジョーカーの関係性。『レゴバットマン ザ・ムービー』でも描かれていたジョーカーのバットマンへの片思いぶりが非常に良く出ていましたね。ジョーカーが事件を起こし、バットマンと遊ぶ、といった図式がここでも出ていました。

 

・CG

 また、神風動画のCGも圧巻です。セル画と見分けがつかないクオリティで、日本のCGも独自に進歩しているなぁと、偉そうなことを思いました。やはり、バトルシーンで存分にポテンシャルが発揮され、大迫力のバトルが楽しめます。

 

・おわりに

 このように本作は、スタッフが「いい!カッコいい!」と思っているものを、ハイクオリティなCGを駆使して制作した快作だと思います。

*1:明智光秀は裏切るからトゥーフェイスとか、謙信は女性説があるからポイズン・アイビー、ゴリラ・グロッドは秀吉で、明智光秀との陰謀論を絡めている等