『ヒナまつり』とは違い、こちらは原作既読。原作は自らが「闇鍋ウェスタン」と書いているように、「金塊を探す」という目的の下に様々な魅力的なキャラクターの思惑が交錯していくという王道の展開を軸とし、そこに豊富なアイヌ知識、アイヌグルメが挟まれるなど、多様なジャンルを取り込んでいます。なので、多角的な楽しみ方ができる作品で、よっぽどのことが無い限り失敗はしないだろうと思っていました。
ただ、それ以外でどう処理するのか心配になった箇所もありまして。というのもこの漫画、相当ヤバいのです。出てくるのはサイコパスか変態ですし、下ネタやグロ描写も豊富。こんなBPO案件の塊のような漫画なのです。また、その他にも原作は見開きのショック演出とか、漫画ならではの表現も多用していて、そこをどうアニメに落とし込むのかも気になっていました。
実際に見てみての感想ですが、素直に楽しめました。確かに、12話に収めるために端折った箇所も結構あったり、扉絵と次のページの動物ギャップが無かったりしたのは残念でしたが、これは読み返して分かったことで、忘れて見ている分にはテンポが良く、見やすかったと思います。楽しめたのは杉元とアシㇼパの信頼関係をしっかり描けていたからかな。ただ、杉元の梅ちゃんに対する気持ちは第1話の時点できちんと入れておくべきだったとは思う。あれがあると無いとでは動機が違って見えてしまうから。
また、上述の漫画的表現については、カットの変わり目を使うことで処理するという堅実なものでしたね。さらに、雪山での動物がモロCGだったのも考えてみればよかったかもしれません。あれで「人間とは違う存在」感が出た気がします。
ただ、全体的に気になったのは作画。ひどく崩れた回は無かったと思うのですが、その代わりに全体的に紙芝居な回が多かった気がします。動いても口だけとかね。多分、相当なファンだったらかなり気になってたかも。
このように、思うところが無いわけではありませんが、全体的には楽しめました。