暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

「信念を貫き通したヒーロー」の完結篇として最高だった【シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ】感想

f:id:inosuken:20180409230126j:plain

 

82点

 

 「アメリカの理想」を体現したヒーローとして、アベンジャーズの中でも中心的な役割をしてきたキャプテン・アメリカ。彼の単独作として3作目となる本作は、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の正統な続篇であり、キャップはもちろん、他のヒーロー達の信念も試される話でした。それ故にこれまで出てきたヒーロー達が大量に登場します。なので話の軸がブレるのではないかと考えがちですがそんなことはなく、間違いなく『キャプテン・アメリカ』の話になっているという、ルッソ兄弟の手腕が遺憾なく発揮された作品となりました。

 本作の舞台は『エイジ・オブ・ウルトロン』から1年後。キャップ達が犯罪者を倒す過程で無関係の民間人に被害が出るという、ショッキングなシーンから始まります。そこから話は『エイジ・オブ・ウルトロン』の裏面に焦点が当てられていきます。それは彼らの活躍の裏で、実は多大な犠牲が出ていたということ。この事態を重く見た国際的な政府組織(いちいち書くの面倒だから国連で良いかな?)は、ヒーロー達を自らの管理下に置くソコヴィア協定を立案。この協定の傘下に入るか入らないかでアベンジャーズが分裂するという、『ガメラ3 邪神覚醒』的な「ヒーローの相対化」の話でした。この点で、本作は事実上の「アベンジャーズ2.5』とも言えます。この「分裂」も双方の言い分に説得力を持たせられるように作ってあってとても上手いなぁと。

 では本作はキャップの話ではないのか、と思われますが、そんなことはない。きちんとした『キャプテン・アメリカ』の3作目でした。彼は「アメリカの理想」を体現するヒーローです。しかし、時代とともに国家の価値観が変わり、彼は理想と現実のギャップで悩み続けます。しかし、自身の信念を貫いてきました。それが前作『ウィンター・ソルジャー』でした。

 本作もまさしく彼が「信念を貫く」話です。しかし、あちらでは彼の選択が功を奏しますが、本作はむしろ争いの種となってしまいます。今回彼が貫くのは、友人・バッキーを護るということ。もちろん無実と信じてですが、そのせいでアベンジャーズと対立し、一時的な離脱を余儀なくされます。「自らの信念を貫いた結果、アベンジャーズから離脱」という、実に彼らしい結末です。この「貫く」という点で、やはりトニー・スターク/アイアンマンとは対照的です。彼は柔軟に対応していきますからね。

 完全に離脱してしまったのかと思われましたが、ラストの台詞で少し救われました。『インフィニティ・ウォー』への布石でしょうけど、まだ仲間だと思っていたのですね。

 他にはやっぱりキャラ全員の活躍のさせ方がとても上手いとか、キメ画はきっちりキメてきて上がるとか、良いところが目白押しな1本した。ただ、難点を挙げるとしたら、アベンジャーズが振り回されすぎな点ですね。