暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2018年冬アニメ【宇宙よりも遠い場所】1話感想

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 現在、第3話まで放送されている本作。最近忙しかったり、書いても映画の感想だったりで、書く暇ありませんでした。

 本作を見ようと思ったのは例によって去年の末に来期見るアニメを探していたところ、制作:MAD HOUSE の表記に惹かれたためです。マッドハウスは昔はアレでしたけど、現在は当たれば非常に面白い作品を見られるため、放送があったクールには見るようにしています。「面白くなかったら1話で切ろう」と思っていましたが、杞憂でした。大当たりです。「1人の少女が、自らの意志で歩き出す」事を描き切った素晴らしい1話でした。

 「高校生になってもまだ何もできていない」ことに焦りを感じている女子高生、玉木マリ(通称キマリ。以下はこちらで)。家と学校の往復で変わり映えのない日々に嫌気がさした彼女は、ある日学校をサボって電車で遠くに行こうとする。ここから、彼女の冒険が始まる。誰もがそう思っていた・・・。で、シーンが変わったらいるのはいつもの学校。怖気づいて戻ってきたらしい。結局、彼女は怖くてどこにも行けないのであった。

 1話ではキマリのこの「どこにも行けない」鬱屈を表現するかのように、徹底して「家」と「学校」そして通学路といった「高校生にとっての狭い世界」しか映しません。彼女の「外の世界」は本の中です。故に、本の中の南極への憧れが際立ったりします。この時の彼女は、冒頭の「淀んだ水」なわけですね。

 しかし、自身とは対極的に目標を持って遠くを見ている小淵沢報瀬と出会い、彼女と共に南極へ行くことを決意します。その決意表明、つまり新しい自分へと生まれ変わる、として散らかってた部屋を掃除したわけですね。しかも彼女がラストで通るルートが序盤で彼女が怖気づいたルートなんですね。これで彼女の心情が序盤と対比されて彼女の決意の変化を物語るものになってたりします。後、天気も変わってて、それも彼女の心情変化表現に一役買ってましたね。そしてその決意の結果、自分が見たことも無いものを見て終わるところなどは、彼女の決意によって彼女にとっての世界が正に広がったカタルシスがあったと思います。

 後、本作は全体的に、絵コンテがとても面白いと思いました。無駄なシーンが無いのです。ほぼ全てのシーンでキャラの心情の説明やストーリーの進行に一役買っています。ラストの鳥が4羽のうちの2羽飛び立つところとか、抜け目がないです。

 このように本作は、脚本、演出が見事に1つになって少女の第一歩を描いた、1話として完璧なものだったと思います。数は少ないのですが、私が見ている限りでは、今期頭1つ抜けている気がします。