暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2018年冬アニメ【恋は雨上がりのように】1話感想

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 今期の中でもかなり期待していた作品。というのも、制作がWIT STUDIOだし、監督は渡辺歩だったからです。そして放送された第1話を見て、その期待は確信へと変わりました。素晴らしい出来だったからです。1話時点では、今期No.1級。WITSTUDIOは、今期『魔法使いの嫁』と並行ですけど、大丈夫なのかと心配になるくらい素晴らしいクオリティでした。

 とにかく全体的に素晴らしいのですが、特に良いと思ったのは2点ありまして。1つは「原作の再構築の上手さ」、2つ目は「キャラの動き」です。

 まず1つ目です。アニメ版の1話は1巻の何話かを分解・接合して作り直しています。そしてアニメではそれらのほとんどが「あきらの視点」で描かれて、彼女の心情を補完するシーンとして機能しています。これによって、「あきらの近藤に対する想い」がどれほどのものであるのか、がこちらに完璧に伝わるようになっています。そして原作の1話のオチで終了します。原作は「え、近藤が好きなんだ」となりますが、アニメ版ではあの台詞により説得力がもたらされていると思います。

 それが最も顕著に表れているのがラスト。あきらが近藤のシャツの匂いを嗅ぐシーンです。原作だと1巻のラストだった近藤との出会いの話とカットバックすることで、彼女にとって近藤がどれほど大きい存在であるか、そして「なんでそんなにあのおっさんのことが好きなのか」を問答無用で視聴者に納得させる素晴らしいシーンでした。原作の良さを殺さず、30分で1話1話丁寧にまとめる。アニメ化するとは、こういう事なのかもしれませんね。

 そして2つ目の「動き」。本作はとにかく動きが非常に丁寧に演出されています。あきらがケガをした足をさりげなく動かして印象付けたシーンとか(第1話では足を印象的に映すよう演出されていると思う)、近藤がマルボロのケースを潰すシーンとか、見ていて飽きない。

 その他にも、冒頭の陸上部の練習とあきらを同時に捉えたシーンとか、印象的なものも多かったです。原作は叙情的な漫画なので、こういう「絵で語る」演出は非常に重要。なので、そこが完璧に再現されていたのも良いですね。

 このように、本作は原作再現度で見ても、TVアニメの1話として見ても、とにかく素晴らしいという事です。1話はあきら視点でしたが、2話以降、近藤の視点も加わるのかと思うと、次回も楽しみです。