去る9月にYOUTUBEにてアップされた「ブレードランナー2049」の前日譚、3篇の感想です。本当は映画が始まる前にアップしたかったんだけど、まさかの初日になってしまいました。今回は3篇の感想を1つ1つ挙げて、その後に総括、という形式にしたいと思います。
【ブレードランナー ブラックアウト 2022】
時系列的に最も古い作品。後の世界に重大な影響を及ぼす「ブラックアウト事件」をレプリカント側から描いたものです。他の2作とは違って、今作だけアニメーションです。おそらく、1作目の世界観を映像にするには、実写では難しいためだと思われます。そして、唯一外伝らしい作品だなと思いました。
注目すべきは、日本のスタッフがメインとなって制作している点です。そしてそのスタッフが選りすぐりの精鋭です。監督は「カウボーイ・ビバップ」などの渡辺信一郎氏ですし、アニメーターにも、大作には必ず名を連ねている有名な人が揃っています。なので、作品のクオリティが半端じゃなく高い。15分という短い時間ですが、見てて惚れ惚れします。
そんなスーパーハイクオリティなアニメで、オリジナルの「ブレードランナー」の世界観を大切に描いています。雑多なビルが立ち並び、広告で溢れかえっているロサンゼルスの風景も完璧に再現しています。
今作には、全体的に静的なムードが漂っています。観念的な隠喩や台詞回し。そしてさりげなく差し込まれるBGM。ここら辺はオリジナルよりさらに強化されている感じがして、どことなく押井守の作品世界っぽいですね。まぁ、あの人もオリジナルに多大な影響を受けてると思いますし。
「ブラックアウト事件」は、レプリカントの記録の消去が目的。それは彼らレプリカントからすれば、まさしく「人間」となるということ。これにより、人間の時代は終焉したのか。そして、ラストの瞳は何を映しているのか。今から期待が高まります。
【ブレードランナー 2036:ネクサス・ドーン】
前日譚第2弾。今作では、ブラックアウト事件によって倒産したタイレル社に代わり新生レプリカントを製造しているアンデル・ウォレスと、彼の作っているレプリカント・ネクサスが描かれます。そして、ネクサスの製造決定過程が描かれます。サブタイトルの「ネクサス・ドーン」とは、和訳すると「ネクサスの夜明け」ここからネクサスが始まったのですね
密室劇で、動きは皆無です。内容もネクサスの説明的なものです。しかし、ネクサスの空恐ろしさや、ブラックアウト事件がどのような影響を及ぼしたかが端的に描かれているため、空白を埋めるためには見る必要アリですね。
【ブレードランナー 2049:ノーウェア・トゥ・ラン】
前日譚第3弾。6分という短い時間ながら、様々なことが語られ、次への伏線も張られた作品でした。
主人公は何か訳ありそうな男。何かに非常に怯えているようです。演じるのは「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」のドラックスの人。今度は脳筋ではなく、優しそうなおじさんです。彼は自分が手に入れたものを売り、生計を立てています。少女と交流もしています。しかし、その子が襲われそうになった時、自分の力を使ってしまい、彼はその場を去ります。そしてその場を見ていた男がどこかに電話をかけるところで終わっています。
そのすぐ後の予告で、その彼は剥製?にされていた男だと分かります。つまり、本作は、2049の直接的な序章と言えます。
彼は少女に一冊の本を渡します。それは「権力と栄光」。逃げ回る司祭が人間とは何かを考えるものだそうです。彼が少女に言ったことは、彼の苦悩だったのかもしれません。
【総括】
見る前はただのオマケくらいに考えていましたけど、見てみると本当に「前日譚」で、見ないと2049に着いていけなさそうでした。合計して30分弱ですが、3つ揃って1つのエピソードのようでした。それくらい各々が密接に関係しています。予習として、必見ですね。