暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

【きみの声をとどけたい】感想

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50点

 

 東北新社ファミリー劇場の共同企画により発掘された6人の新人声優が主演のオリジナルアニメーション映画。ぶっちゃけ、この6人を売り出すために作られた感がある映画で、普段だったらスルーしてる案件です。ですが、今回は鑑賞しました。理由は2つあって、1つは制作会社がマッドハウスだったこと。もう1つは舞台が地元の近くで、馴染みがあったことです。

 マッドハウスはたまーに微妙な作品を作りますが、本気を出せばTVアニメだろうが劇場アニメだろうがとんでもないクオリティの作品を作ります。しかもそれが一定以上のクオリティが必要と思われる劇場オリジナルアニメでは、それなりのものになっていると思いました。そして、そのクオリティで、馴染みのある場所が描かれるとあれば、興味もわきます。

 で、感想ですが、キャラの動きとかはさすがに細かくて面白いし、背景もきれいでした。ですけど、ストーリーは言いたいことがある映画でした。基本、真っ直ぐで爽やかな映画だと思うんですけど。

 まず、冒頭、驚きました。タイトルが出るシーンなんですけど、背景が曇天なんですよ。「これは、この先の展開がドロドロになる暗示か・・・?」とか思ったのですが、そこまでドロドロでもなかったです。むしろ爽やかでした。じゃあ何故あんな背景にしたんだ。

 ストーリーは単純で、夏休み、それぞれ様々な悩みを持った高校生がミニラジオを始めるというもの。で、それを通して互いの気持ちをぶつけあって成長していく姿を描いていました。

 それ自体は良いんです。真っ当なストーリーですし。でも、いくら何でも6人はキャラが多すぎたと思います。主演の2人はいいですよ。でも、問題はそれ以外です。ラジオオタクのあの眼鏡っ娘。確かにああいうキャラはこの手の作品にはつきものですけど、後半は完全に空気だし、音楽上手い人はそれ以外よく分からんし、雫も「パティシエになりたい」以外に具体的なことがあんまり分からない。つまり、キャラが多く、話の中で捌けていない印象を受けました。いや、名前覚えられるくらいにはなったか。

 で、ストーリーもそれぞれのエピソードがバラバラで、TVアニメの総集編のような印象を受けました。映画自体は「コトノハ」の通り、本音で話さないと思いは伝わらないとか、信じて頑張れば夢はかなうだとか真っ当な内容です。それを紫音とかえでと夕の話を軸にして描いたものです。ですが、かえでと夕のエピソードを入れてしまっていせいで、そしてそれが独立したエピソードとして描かれているため、話全体のバランスが悪いなー、と思ってしまいました。そして、いろいろな要素がとってつけたように出てくるんですよね。特に終盤の取り壊し話。本当に突然出てきましたね。で、最後の主人公の未来に関しては、本当に突然で、「え、これってここに着地するんだ」とびっくりしました。

 というか、この話、1クールのアニメにした方が良かったような気がします。それなら、1話1話区切ってエピソードも展開できるから、バラバラでも気にならないし、キャラももっと描けたと思います。この映画、時間をTVアニメで考えると、大体4話分ですよ。本格的に物語が動き出すのに3話かかるというこの時代で、この時間は厳しめですね。

 でも、普遍的なことを描いていた作品だと思うんです。最後はちょっと感動したし。そしてそれは思春期に結構悩むものだと思います。ごちゃごちゃ書きましたけど、この映画、女の子たちに感情移入できれば、それでいいような気もします。そして、私は彼女たちのまっすぐな気持ちがいいなとか思ったりしました。だからこの時点で、この映画は成功なんだと思います。

    後、テーマをストレートに語っていて、何だかんだ登場人物は良い人多いし、やさしくて真っ直ぐな映画だなと思いましたよ。