暇人の感想日記

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グレート。かなり良心的な実写化作品ですよ、こいつはァ。【ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章】感想

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70点

 

 

 MS杜王町。そこに住む1人の高校生。彼の名は東方仗助。人は彼を、JOJOと呼ぶ―――

 

※呼びません。呼んでくれたのは名も知れぬ不良だけです。

 

 

予告からこんな突っ込みを入れたくなる本作。煽りも「世界驚愕」とか、たぶん意図的でしょうね。まぁ、ジョナサンもジョセフも本名よりJOJOって呼ばれたことのほうが多いし、承太郎も最初は呼ばれていました。そう考えれば違和感はない・・・か・・・?

 

 

 おそらく、世界で最も実写化してはいけない漫画の1つ「ジョジョの奇妙な冒険」がまさかの実写化。ネットでは公開前からネガティブな意見で溢れかえり、およそ誰も期待してはいないだろう作品。私も「ジョジョ」は一応すべての部は読んでいますし、アニメもTVなら追っています。なので、私もその1人でした。しかし、不安はありませんでした。何故なら、全く期待していなかったからです。不安とは期待があって初めて生まれるものです。期待していなければ生まれようもありません。そんな心持でしたが、「観てみないと評価できないしな」と思い、鑑賞しました。

 

 結果、悪くなかったです。いえ、むしろ良かったです。不満点もありますが、原作の精神もきちんと描けていて、漫画の世界を「実写」に落とし込めていたと感じます。「ジョジョの実写化」としては、これ以上は無いのではないのでしょうか。

 

 「ジョジョ」が実写化困難な最大の理由は、作品が独特すぎるためです。原作は非常に濃い絵と「ジョジョ立ち」と呼ばれるスタイリッシュな立ち姿、さらに独特の台詞回し、奇天烈な服装など、およそ「現実的」でなく、漫画だから許されていた世界観でした。なので、ここをクリアせず実写化してもとてつもない駄作になるだけです。しかし、今作は撮影をスペインで行ったことで、作品全体に異質な感じが生まれ、原作を忠実に再現したキャラの容姿や台詞に妙な説得力を出させることに成功していると感じました。おそらく、日本で撮影していたらとてつもなくダサかったと思います。

 

 「銀魂」を観て違和感を覚えたのは、原作ファンに配慮するあまり、映画を原作と全く同じ構図で撮ってしまい、それにより逆に実写化による違和感を増大させていたことでした。しかし、今作は、先にも書きましたが、原作の内容をきちんと実写に落とし込めていると思いました。今作は原作に忠実な構図、展開があまりなく、話の順番も入れ替わり、改変は多いです。しかし、仗助が良平さんの「精神」を受け取るアメコミの「オリジン」的な話に上手くまとめてあり、「黄金の精神」を描いた4部の精神は外していないと思います。「映画欠席裁判」で、柳下毅一郎さんと町山智浩さんが「三池は原作は解体しても原作のスピリットは外さない」と仰っていて、本作はまさしくそうだなと思った次第です。

 

 また、感激したのは、スタンドバトルです。大きな見せ場はアクア・ネックレス戦とバッド・カンパニー戦です。この2つが本当に良かった。原作にある頭脳戦を忠実に再現していて、特にバッド・カンパニー戦は映画ならではの迫力に満ちていて、これだけならアニメを超えた気がします(まぁ予算もこっちのほうがあるでしょうし)。

 

 本作では役者も素晴らしかったです。山崎賢人さんは、前半は棒演技だな、と思っていたのですが、感情的になってからは違和感なく見れましたし、ほかの方は言わずもがな。特に億泰役の新田真剣佑と由香子役の小松菜奈さんははまり役だったと思います。また、ドララララッシュ、オラオララッシュもあり、山崎さんはもう少しといった感じでしたが、伊勢谷さんのラッシュは素晴らしかったです。ただ、肯定できている自分に驚きです。

 

 ここまで結構ほめましたけど、不満もあります。後半の虹村父の下りとか、ところどころテンポが悪く、間延びしてたとか、虹村兄弟編への繋ぎ方はもっと何かあっただろとかです。でも、全体として、本作は良い実写化だと思います。