75点
NETFLIX制作の映画。鑑賞したのは昨年の11月。色々と後回しにしていたらこんなにも書くのが遅くなってしまいました。鑑賞したのは本作の監督が『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』のジョン・リー・ハンコックが監督してたから。また、キャスト的にもケヴィン・コスナーとウディ・ハレルソンで、ジャンルも西部劇とくれば俄然鑑賞意欲が湧いてきますよ。
本作の主人公はもう現役を退いたフランク(ケヴィン・コスナー)とメイニー(ウディ・ハレルソン)のコンビ。彼らが追うのはあの『俺たちに明日はない』のボニー&クライド。本作は『俺たちに明日はない』を追跡者側から描いた作品なのです。そして同時に、「時代に取り残されてしまった」老人の物語でもあります。
本作は『俺たちに明日はない』を別角度から切り取った作品ですが、それ故に当時のアメリカの様子すら別角度から切り取ることができています。メイニーは土地を差し押さえられ、フランク達は行く先で国民の窮状を知ります。それは彼らが知っていた「アメリカ」とは違うものだったと思います。
そして、「追う側」の物語を描くことで、あの作品への批評的な要素も劇中に入ってきます。ボニーとクライドは『俺たちに明日はない』で、そして当時でも英雄として扱われていました。しかし、やっていることは凶悪な犯罪者です。終盤まで顔が出てこないのが余計に不気味な感じを出しています。そして、犯罪者を元本作はこの点を浮かび上がらせ、同時にこんな状況になってしまったアメリカという国を描き出します。要は本作は、もはや「過去の人」となった人間が自国の変わりようを目の当たりにしてしまうという作品なのだと思います。そう考えると、ジョン・リー・ハンコックという監督は、『ファウンダー』でも「アメリカ」について描いていたと思います。この辺が作家性なのかな。ラストの運転交代も、「もう俺は休むよ」的な意味なのだと思います。
アメリカ映画史に残る傑作『俺たちに明日はない』を批評的な視点で描き、同時に「アメリカ」という国についての映画でもある本作。問題はストーリーが淡々とし過ぎていてそこまで面白くないってことなんですけど、ジョン・リー・ハンコック監督の描きたいことが何となく分かった気がしました。
同じくジョン・リー・ハンコック監督作。こっちは傑作。
こっちもある意味西部劇。