暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

確かに映像は凄いけど・・・【ジェミニマン】感想

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57点

 

 

 『アラジン』で青くなってミュージカルをやったと思ったら、今度は若い頃の自分自身と戦うハメになったウィル・スミス。端から見てて、確かに愉快でしたが、私は本作を観るつもりはありませんでした。確かに、ウィル・スミスVSウィル・スミスというネタ的な設定と、アン・リーが監督しているという点で少しだけ興味はありました。けど、自分VS自分なんて、『ターミネーター/新起動』とか、『LOGAN』でやられているわけでそんなに目新しいわけでもなく、貴重な時間とお金を使ってまで観るもんではないかなと思っておりました。

 

 その気持ちが変わったのは、添野知生さんのツイートでした。何分不勉強なもので、私はそこで本作に全く新しい撮影技術が使われていると知り、内容的に興味はなくとも映画の歴史的には観ておいた方が良いと思ったので、鑑賞した次第です。

 

 

 結論から書くと、本作を映画館で観た意味はありました。本作で採用されている3D+in HFRの映像は確かに凄まじく、これまでに体感したことがない映画体験になりました。反面、ストーリーは杜撰であり、ふた昔前の大味アクション映画を観ている気分になりました。

 

 本作を語る上で欠かせないのは、3D+in HFRでしょう。これは通常のフレームである24fpsを大きく越える60fpsで撮影されているものです。簡単に言えば1秒間に挿入されているフレーム数が60枚ということです。アニメを例に出せば分かりやすいと思いますが、あちらは中割を入れれば入れるほど動きがヌルヌルして、俗に「神作画」何て言われたりします。本作はそれを実写に適用しており、1秒間に60枚もフレームを入れているため、細かな動きも再現できるというわけです。お陰で役者全員がヌルヌル動きます。ウィル・スミス(若)は実写版『ライオン・キング』よろしくCGキャラだそうですが、彼の動きとウィル・スミス(現在)の動きにそこまで差がなかったように見えたのは、この技術のお陰なのかもしれないと思ったり。

 

 ただ、本作のベストな状態はこれではなく、さらに倍の120fpsだそうです。これを採用しているのは日本に3館しかないとのこと。私は距離的に行く気力が湧かなかったので、相対的に近く、3D+in HFRを上映できるTOHOシネマズ日比谷にて60fpsで観ました。

 

 しかも本作は全編に亘って4Kで撮影されているため、解像度も尋常ではない高さ。しかもそれが3Dになっているため、立体的にもなっています。何を言いたいのかというと、本作はこれまでの映画を越える「実在感」を有した作品だということです。

 

 この撮影技術により、画面はとにかく美しく、圧倒されます。これだけでも料金分の価値はあります。現実との境界を忘れそうになるくらいの質感を有しているため、アクション・シーンの緊張感も中々のものです。しかも3Dなので、終盤のガトリング・ガンのシーンでは、本当に弾とガラスが飛んできて、怪我するんじゃないかと思いました。後は水の美しさ。息を呑みました。

 

 

 また、アクションシーンも、目を見張るものがありました。中盤のアクションです。屋内での銃撃戦とバイクチェイスで、あまりカットを割らず、長回しで撮っているのです。解像度が高いが故に画面上で誤魔化しが効かないということを考えれば、中々攻めているなぁと思います。アクション自体もダイナミックさもあり、単純に面白い。

 

 このように、映像とアクションはまぁ頑張っているのですが、肝心の内容がお粗末。これに関しては、「本作は映像の映画である」と言われてしまえばそれまでですが、ストーリーには基本的に突っ込み処しかないです。ブダペストを往復するのも回りくどいし、バロンの死に方が雑だし、最後の決着は適当だし、およそ良いところがない。一応、ウィル・スミス(現在)がウィル・スミス(若)に対して自分にはできなかった「普通の人」としての生涯を全うさせようとするという話であり、個人の尊厳の話ではあります。しかし、それにしても看過できないレベルのお粗末さです。

 

 このように、ストーリーはてんでダメです。しかし、映画館でしか観られない映像を作り出したという1点において、本作は記念碑的な作品ではあるし、この映像を体感するだけでも本作を観る意味はあります。私はこの点と、メアリー・エリザベス・ウィンステッドの変わらぬ美しさに対し、この点数を捧げようと思います。

 

 

大味アクション。でもこっちはバカ映画なりに面白かったです。

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 引退願望がある凄腕の殺し屋という共通点がある作品。

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 ポケモンですが、CG技術の向上に目を見張った作品。

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