暇人の感想日記

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2019年夏アニメ感想④【コップクラフト】

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 「フルメタルパニック!」シリーズの賀東招二先生原作の同名ライトノベルをアニメ化した本作。原作は「海外の小説を賀東先生が翻訳した」という体で書かれている、少し面白い作品です。私は原作の存在は以前から知っていましたが、まぁ例によって読めておらず、このアニメ化を機にどんなものなのか見ておこうと視聴しました。

 

 実際に見てみると、突出した良さはなかったのですが、堅実に作られた作品で、最後まで楽しく見ることができました。

 

 本作は上述のようなやや特異な「設定」を持った作品です。それ故、作品全体の雰囲気も、海外の、特にアメリカの刑事ドラマのような感じのものでした。起こっていることはシリアスなのですが、その中にもしっかりとユーモアやウィットに富んだ会話を入れていて、今のアニメにはあまりない感じです。それこそ2000年代初頭くらいの作品を彷彿とさせます。そしてそこに異世界要素を組み込み、異世界人とアメリカン・コップのバディものとして仕上げています。

 

 「バディもの」とは、1つの事件を通して、人種も価値観も全く違う者同士が協力し合い、絆を深めていく作品群を指します。この点から言えば、本作はまさしく「バディもの」です。過去の経験により異世界人にあまり良い印象を持っていない「人間」ケイ・マトバが、異世界の貴族、ティラナと事件を追っていくうちに人種を越えて絆を深めるのです。本作はこの過程がやや駆け足ながら描かれています。

 

 

 主人公2人のキャラも素晴らしかったです。腕は立つものの皮肉屋なケイと、良いとこの出のお嬢様であり、世の中のことを何も知らないティラナ。2人が互いに認め合い、またお互いを学び合っていく過程は見ていてとても面白い。それが恋愛関係まであまり踏み込まないところもとても良いです。 また、コテコテながら、このバディとしての相互理解が、そのまま異なる人種間の相互理解になっています。

 

 物事の後半は、バディものの要素と、ティラナの成長がメインになってきます。物語の後半は、彼女が人間世界の諸問題やルールを知っていく内容がメインになるのです。この内容にシフトしてからは、ケイが「教える側」になるのも面白いなと。そして、物事の清濁をきちんと知った上で自らの正義を行うという点に落ち着きます。

 

 最後に、アニメーションについて。作画はヤバかったな。本作は「動く」ものではなく、止め絵を多用するものでした。しかし、動くところはしっかりと動き、止め絵もカメラワークにより動いているように見せ、省エネながらも、疾走感あるものにしていたと思います。まぁ少ない予算をセンスでごまかしていたと言われればそれまでですが。もっと予算かけられればより素晴らしい作品になったのになぁ。

 

 つまり本作は、バディものとして、非常にベタな、よく言えば王道の内容になっているのです。そこが面白かったため、楽しむことができました。欲を言えばアニメーションがもっと良ければ良かったなぁ、ってのは無いものねだりですかね。

 

 

 これもある意味バディもの。

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