暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

NETFLIXアニメ【ULTRAMAN】感想

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 「ウルトラマン」に関しては、私はそこまで熱心に追っているわけではありません。平成生まれである私にとっては、「ウルトラマン」とは平成の三巨人であり、昭和のシリーズで曲がりなりにもきちんと見たのは「ウルトラマン」と続く「ウルトラセブン」くらいです。しかも、平成のウルトラシリーズですら、「ネクサス」で止まっていて、それ以降は全く見ていません。

 

 そんな私が何故本作を視聴しようと思ったのかというと、それは純粋に、監督がファンである神山健治さんだったから。しかも共同で同じく監督を務めるのは『APPLE SEED』の荒牧伸志さんで、制作はProduction.I.G。これ程私の中でストライクな要素が並べば、視聴したくなるもんです。見たのは大分前ですけど、「ウルトラマン」も見ているし、今回視聴した次第です。

 

 簡単に結論を書くと、とても面白かったです。「ウルトラマンがM78星雲に帰った後の世界」という設定でありながら、きちんと「今の時代のヒーローもの」として作られていたと思います。

 

ULTRAMAN1(ヒーローズコミックス)

ULTRAMAN1(ヒーローズコミックス)

 

 

 「ウルトラマン」では、ウルトラマンという存在は日米安保の比喩であり、最後の敵であるゼットンを科特隊が自力で倒すことが日本の独立と重ねられていた、という話は有名だと思います。その点で言えば、本作の科特隊は自分達の技術力であそこまでの兵器を作れたわけですから、「その後」の世界としては妥当なところだなぁと思いました。

 

 本作は「ウルトラマン」の続編でありながら、決定的に違う点があります。それは、ウルトラマンに変身する人間が巨大化しないという点。その代わりとして、アイアンマンよろしくスーツを装着して戦います。この設定の変更により、本作はその通りヒーロー達の等身大のドラマを描いていました。私は最近のウルトラシリーズを見ていないのですが、ヒーロー達、特に主人公が悩み、成長し、「ヒーロー」になっていくという内容は、どことなく「平成仮面ライダー」を彷彿とさせます。今のウルトラマンもそうなのかな。

 

 とにかく、本作で描かれていたことは、主人公、進次郎がウルトラマンとして「戦う意義」を見つけるまでを描いていました。進次郎は、最初は生まれ持った超パワーを持て余しているだけで、戦う理由も承認欲求でした。そんな彼が様々なウルトラマンと出会い、宇宙人との戦いの中で自らの戦う理由を見つけるという話は、少なくとも初代ウルトラマンには見られなかった内容で、近年のヒーローものの定番なのではないかと思います。この点で、私は、本作はより現代的なヒーロー物語になっているなと思いました。

 

 

 ストーリー以外で注目されるのは、3DCGである点。本作のウルトラマンはメタリックな装備なので、3DCGにしたことにより、その硬さの質感がよく出ていました。また、モーション・キャプチャーを採用しており、基本的に動きがリアル寄りです。それはアクション・シーンでも同じで、戦闘スタイルが現実の動きに即した体術のようなものが基本です。この点は、元々が特撮であるということを鑑みれば、納得のいくものでした。しかし、一から十までそうなのではなく、アニメーターが描いたというアニメ的なダイナミックなものもあります。それに加えて、3DCGを最大限活かしたカメラワークも上手く使えています。つまり、本作は3DCG的な強みと、アニメーション的な強みが上手く融合している作品と言えます。

 

 未完の作品ということで、確かにストーリー的には消化不良な点もあります。しかし、本作では進次郎が「ウルトラマン」として自覚を持ち、ヒーローになるまでを描いていました。これはこれで、「ヒーローのオリジン」の物語としてまとまりがいいので、私は先日制作が発表された2期に期待したいと思います。

 

 

 同じく特撮作品のアニメ化作品。

inosuken.hatenablog.com

 

 同じようなヒーロー。

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