暇人の感想日記

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2018年秋アニメ感想⑨【ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風】

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 2012年より始まった、日本を代表する傑作漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のTVアニメ化第4弾。2012年に第1部が始まる前はマイナスな意見ばかりが溢れかえっていましたが、スタッフの「覚悟」と熱意により、ファンの信頼を獲得。今やdavid production制作の本シリーズは、ジョジョファン以外にも、アニメファンにとっても信頼のコンテンツとなりました。ファンの思い入れの強さを考えれば、「ジョジョ」が第5部まで途切れることもなく制作され続けているという状況は、誤解を恐れずにいれば『アベンジャーズ』がここまで続いている事とほぼ同じくらい奇跡的なことだと思っています。私だって原作は以前より読んでいますし、このTVアニメシリーズだって第1部から追っています。なので第5部にあたる本作を見ない理由など存在するはずもなく、視聴しました。

 

 視聴してみると、本作は前シーズンと同じく、原作を忠実に再現している作品であり、大変楽しめました。また、それ以上に本作は、これまでこのTVアニメシリーズが培ってきたノウハウが全て詰め込まれて、この「黄金の風」が作られているとも感じました。

 

 

 本作の内容に関しては言うまでもありません。「運命」という既に決まっている「結果」に対し、抗い、自らの道を切り開いた者たちの話です。ディアボロキング・クリムゾンは「過程をすっ飛ばす」能力で、彼はそれによって「人生の絶頂にい続ける」男でした。そんなディアボロに対し、主人公たちは「真実に向かおうとする意志」を持ち、エピローグで明らかになる「結果」は変えられないながらも、運命に抗ったことで、大きく世界を変えました。本作の肝はこの点にあり、「運命が決まっていたとしても、それに抗い、真実に向かう意志を持ち進んでいく」ことの尊さ、気高さがカッコよく、何なら人生観にすらも影響を受けます。このメッセージ性が、5部の魅力の1つです。

 

 そしてもう1つは、最高なスタンドバトル。1つ1つのバトルがやはり素晴らしい。3部のパワーでごり押しするようなバトルと、4部にあった頭脳戦メインのバトルの良いとこ取りのようなバトルで、毎回分刻みで有利不利が変わっていく展開を完璧に再現していました。また、ファンは皆楽しみにしていた無駄無駄ラッシュには特別の原画チームを設けたりして、スタッフの覚悟がそこかしこに見える作りでした。

 

ジョジョの奇妙な冒険 第5部(30~39巻)セット (集英社文庫(コミック版))

ジョジョの奇妙な冒険 第5部(30~39巻)セット (集英社文庫(コミック版))

 

 

 さて、最初に書いた「これまでのノウハウが培われている点」についてですが、それは「原作の程よいアニメ化」です。

 

 第1部では、初めてということもあり、原作のシーンを本当に忠実に、それこそ原作とほぼ同じ構図で再現していたり、かなりおっかなびっくりと作っていたことが伺えます。しかし、第2部からはおっかなびっくり感はあるものの、多少余裕が出てきたのか、アニオリを入れたりしていました。

 

 そして続く第3部。4クールということもあり、ここからスタッフの余裕が見え始めたと思います。尺がたっぷりあるためか、原作で描かれなかった点を良い感じに補完してくれるアニオリシーンを随所に入れ、その上で全体の構成をいじったりし始めたのです。この点に関しては原作の矛盾を原作の良さを壊さない程度にやってくれていて、私としては満足のいくものでした。1部、2部が驚異的なスピードで進んでいったことと比べると、ややゆったりしている感も出ました。ですが、3部はロード・ムービー的な側面もあるので、彼らの活躍をじっくりやってくれて、それがラストの感動に繋がっていたと思います。

 

 

 最後に、第4部では補完のアニオリの他に、時系列のシャッフルを敢行。尺が少ないながら、何とか収めていました。

 

 さて、これを踏まえての第5部では、これまで培ってきたストーリーの取捨選択力、そして原作の補完のアニオリの挿入が非常に上手くいっているのです。特に5部は実質2週間ほどの出来事なので、それを視聴者に体感させるためにスピード感は命。本作では原作を上手く取捨選択してテンポよくストーリーを進めています。しかも、そこにきっちりと補完するアニオリをさりげなく、しかし効果的に入れている。私はこういう点にスタッフの小慣れ感というか、精錬された手腕を見ました。

 

 私は、原作はそれまでの「ジョジョ」シリーズで培われたものが上手く出ている内容だと思っています。そしてそのアニメ化である本作は、やはりそれまでのTVアニメ作品で培われたものが出ている作品でした。要は素晴らしかったということです。6部、待ってます。

 

 

実写版。こっちは支持を得られませんでした。残念。悪くないのに・・・。

inosuken.hatenablog.com

 

 同じくdavid production 制作の作品。

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