暇人の感想日記

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「男を手玉に取る女」峰不二子【LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘】感想

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78点

 

 『峰不二子という女』より続く『LUPIN THE ⅢRD』シリーズ最新作。今回焦点が当たるのは、ルパンファミリーの紅一点、峰不二子。正直、不二子に焦点を当てた作品なら、同じくアダルト路線を追求した「峰不二子という女」というTVシリーズがあるため、このシリーズでは作られないのかなと思っていました。ですが、そんな事は無かった。前2作と同じく、高いクオリティのアニメーションで、「峰不二子という女」とはまた違った魅力の不二子を描いてくれました。

 

 峰不二子というキャラは、非常に多面的な魅力を持った存在だと思っています。セクシーであり、とても強く、そして男を手玉にとる悪女でもある。およそ男が考えうる限りの「最強の女」かもしれません。

 

 翻って、この『LUPIN THE ⅢRD』シリーズは、ルパンファミリーそれぞれが持つ魅力を120%引き出した最高のキャラものシリーズです。『次元大介の墓標』は次元の持つ「カッコよさ」を120%押し出したものにしていたし、『血煙の石川五エ門』では、「強さ」をストイックに追い求める五エ門の姿をシリーズの醍醐味である超絶作画で見せてくれました。

 

 

 では、本作では、不二子のどの面を押し出して作ったのかというと、それはもう彼女の十八番「男を手玉にとる女」です。

 

 本作のストーリーは、巨大組織の金を横領した男の息子を成り行きで保護することになった不二子が、金を狙う組織に追われるという、完全に『グロリア』のそれ。そのストーリーを下敷きに、都合3人の男と不二子を交わらせ、彼女の魅力を描いていたと思います。

 

 1人目はジーン。横領した金のありかを知るキーパーソン。またこのガキが良い感じに頑固でムカつくんですよね。事態を理解してないくせに意地だけは一丁前で、「パパの仇をとるんだ」と言って不二子を困らせる下りは絵面だけなら『グロリア』と酷似しています。ただ、『グロリア』と違うのは、不二子の本心が分からないという事。金のために嫌々護っているように見えるけど、ちょっとした瞬間に本気で護っているのではないかと思わせます。この本心の読めなさが絶妙でした。ただ、どちらにせよ、本作の不二子には若干の母性的な側面を見た気がしました。

 

 

 本作には、少年の他にもう1人、「子ども」が出てきます。それが敵であるアイツです。不可思議な術を使い、相手を意のままに操る事ができる男ですが、その中身は戦う事しか知らないただの「子ども」でした。そんな奴に不二子が勝った方法は、「自分の虜にする」事でした。これはものすごく「峰不二子」な勝ち方だと思います。

 

 そして3人目はご存知、ルパン三世。本作では、彼との関係は「不~二子ちゃ~ん」な関係ではなく、一言では言い表せない関係でした。ルパンと話しているときは、ある意味、不二子が最も彼女らしく振る舞っていた気がしています。

 

 このように、本作は、2人の男を通して、不二子の母性的な側面と、男を手玉にとる姿を描いていました。そして最後にルパンとの関係を見せることで、「峰不二子」という多面的な魅力を持ったキャラをしっかりと見せていました。

 

 しかも、峰不二子は最後に全てを持っていく。ラストで明かされるネタから、やはり不二子は男を手玉にとる悪女であり、全てが彼女の掌の上であったことが分かり、ファン的には大変痛快で、満足できます。

 

 他にも、本作ではある事実が明らかになり、このシリーズに1本の線ができた回でもあります。おそらく次は銭形なのでしょうが、このシリーズがどのような結末を迎えるのか、非常に楽しみになってきました。

 

 

同じく『LUPIN THE ⅢRD』シリーズの作品。

inosuken.hatenablog.com

 

 最新TVシリーズ。こちらは非常に野心的な作品でした。

inosuken.hatenablog.com