78点
世界中でメガヒットを記録した『トランスフォーマー』シリーズ。興行的には大当たりしているものの、さすがはマイケル・ベイ。戦闘シーンは何をやってるのかさっぱり分からないグチョグチョぶりだし、ストーリーはアレだし、そもそもトランスフォームをちゃんとしないという欠点を抱えた作品でした。
私は2作目はまでは観たのですが、やっぱりマイケル・ベイですから。そこで続きを観る気にならず、3作目以降は観ていません。そんな私が、何故本作を鑑賞したかといえば、監督が『クボ 二本の弦の秘密』のトラヴィス・ナイトだったから。私は『クボ』は本当に好きなので、どうやら『トランスフォーマー』らしくなく評価も高いらしいし鑑賞した次第です。
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本作のあらすじは、父の死を受け止められず、自分の居場所が見つけられない少女チャーリーが、記憶を無くしたバンブルビーと交流して成長し、自分を取り戻すというもの。要するに『ET』や『アイアン・ジャイアント』みたいな、ベタな話です。しかし、ベタだからこそ観やすいし、感動しました。
まず感動したのは、アクションシーン。『トランスフォーマー』のシリーズなのに、戦闘中に「誰が、どこで、何をやっているか」がちゃんと分かるのです。つまり見やすくなっている。しかも、戦い方が武器だけではなく、ちゃんと体術らしきものを使ったり、地形を利用したりと、利にかなっているのです。
また、マイケル・ベイ版とは違い、ちゃんとトランスフォームしているのも素晴らしい。あっちは「アレからこれになるか?」と疑問符がつくものでしたから。
また、上述のようにストーリーも良いです。序盤の、チャーリーの居場所が無い描写、そしてそんな彼女が記憶を無くしたバンブルビーと交流し、ラストで大切な存在のために「飛ぶ」チャーリーの姿には胸を打たれます。このシーンや、劇中のアイテム等、出てきた伏線はしっかり回収しており、脚本も良くできてると思います。この丁寧な積み重ねが、ラストの2人の別れに感動をもたらすのです。
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また、途中に出てくるボンクラオタクのメモも良い。彼は至る所に「最高」と思わせる要素があるキャラなのですが、彼とチャーリーの交流がとてもよく、本作はジュブナイルとしても面白いと思わせてくれます。
本作をちゃんと観てみると、監督の前作『クボ 二本の弦の秘密』と通じるテーマだということが分かります。つまり、両作とも、同じく「1人である主人公が家族を得る」話なのです。2作共通しているところを見ると、これがトラヴィス・ナイトの作家性ということなのでしょうか。
このように、本作は「ジュブナイルもの」としても素晴らしいですし、そこへ『ET』的な要素を『トランスフォーマー』に上手く置き換えて作られている作品でした。その意味で、本作はひょっとしたら、『トランスフォーマー』史上最もスピルバーグの精神を引き継いでいる作品なのかもしれません。
同じ監督の作品です。こっちも素晴らしい作品でした。
同じような作品。こっちも素晴らしい作品でした。って2回目か。