暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2018年秋アニメ感想⑥【ツルネ-風舞高校弓道部-】

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 京都アニメーションの新作。最初に情報を聞いたとき、「なるほどなぁ」と思いました。要は弓道版の『Free!』を作りたいんだな、と。『Free!』はTVシリーズは現在で3期を数え、最近、完全新作の劇場版も決定した京アニが誇るヒットコンテンツですが、年月も経ち、続けることが難しくなってきたのでしょうか。そこで、同じようなターゲットを狙える本作を制作したと。こんな邪推ができる本作ですが、やっぱり京アニの新作ですから見ないわけにもいかず、視聴しました。

 

 実際に視聴してみると、思った以上に『Free!』に近い内容の作品でした。皆がチームとしてまとまっていき、最後に主人公が「チーム」の重要性に気付くといったストーリー的な面から、湊と愁の関係とか、湊と静弥の関係とか、キャラクターの関係性の面からも『Free!』と似ている点があります。

 

 

 ただ、『Free!』はメンバーのほとんどが幼馴染だったこともあって主要人物の関係性が最初からある程度出来上がっていたのに対し、こちらは最初はそこまで足並みが揃っておらず、互いを理解し合い、その関係性が出来上がっていく様子を1クールかけて丁寧に描写していました。この点は『Free!』より良くできていると感じていて、この点で私は本作のことは『Free!』より好きになりました。そしてこの関係性が出来上がったことが全員の成長の証であり、同時に最後の試合の勝因でもあるので、全体のまとまりも良いし、何よりバラバラだったアイツらが一丸となって試合に臨む姿にはカタルシスがありましたね。「ここまで来たんだぞ!」っていう。

 

 また、『Free!』と一番違う点は、やはり扱っている競技でしょう。『Free!』は水泳という事で、「動き」というアニメーションの魅力を存分に発揮できる題材だったのに対し、本作は弓道という、水泳とは対照的な「動かない」競技です。生半可な力量ならば、全く魅力のない作品になりそうなところを、きちんと「競技」として見せてしまえる点には、やっぱ京アニって凄いなと思わせられます。

 

 この「見せてしまえる」具体的な要素を書いてみると、1つは「音」だと思います。本作はタイトルの通り、音が重要な要素となっています。矢を放った時に鳴る弓音や、撓る音、衣擦れの音などが試合では強調され、こちらの集中力を高めます。

 

 2つ目は「動き」です。しかし、それは『Free!』のような躍動感のあるものではなく、それとは全く逆の細かい所作です。弓道には多くの所作がありますが、それを丁寧に毎回見せてくれます。この細かい丁寧な動きも、さすが京アニって感じです。そしてその細かい所作によって、放った矢のスピードが強調されています。

 

 上記の2つによって、弓道そのものを面白く描いている訳ですが、試合も面白く描けている点は本当に素晴らしいですね。特に最後の桐先高校との試合は手に汗握りましたよ。

 

 以上のように、本作は完全に弓道版の『Free!』な側面もありますが、弓道をきちんとアニメ映えするように演出していたり、5人が絆を深めていく過程を丁寧に描写しているなど、見所もかなりあったので、非常に楽しんで見る事が出来ました。まだまだ描けそうなことはあるので、2期を少し期待してます。