暇人の感想日記

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「復讐モノ」の娯楽作として最高【デス・ウィッシュ】感想

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85点

 

 

 『狼よさらば』のリメイク作品。監督はイーライ・ロス。私はグロがダメなので、実はこの監督は敬遠していました。だってフィルモグラフィを見ると、『ホステル』とか『グリーン・インフェルノ』とか『ノック・ノック』とかいかにも私が苦手そうな作品ばかりが並んでいるじゃないですか。「この監督とは縁がねぇな」そう思っていました。ですが、本作は予告を見る限りではそこまでグロは無さそう。しかも「悪人を全員死刑にする」みたいな映画を観たいと思っていたので、イーライ・ロスデビューのつもりで鑑賞しました。

 

 まず、調べてみて驚いたのですが、オリジナルの『狼よさらば』は単純な復讐モノではなく、寧ろその復讐のやり方の虚しさを感じさせる作品だったということ。もしその通りだと、当時の私的にはやや物足りない作品になっていたかもしれません。しかし、実際の感想としては、非常に面白い作品でした。今時珍しいくらい純粋な「復讐モノ」でありながら、かなりしっかり作られているし、きちんと現代的なアップデートもされている良作です。

 

 本作は「復讐モノ」で、基本的な流れは非常にオーソドックスです。要はまずは主人公のポール・カージーの幸せな家庭を見せる→悪漢に襲われ、家庭がメチャクチャに→復讐!って感じです。本作はこの一連の流れをしっかりと見せてくれます。秀逸なのが序盤のポール・カージーの日常描写です。見るからに幸せそうな一家なのですが、そこに唐突に、かつスッと入ってくる暴力的なシーンが良いのです。ここで、既に不穏な空気を感じさせ、「この世界に確かにある暴力」を我々に認識させます。さらに、主人公が医者であることも物語に深みを与えています。

 

 そしてやってくる襲撃シーン。ここは本当に不気味で不快で、悪漢への憎しみを掻き立てられます。さらに、これのおかげで、ここからの主人公の苦悩に同情できます。しかもここから、主人公の住む場所が地下に変わり、絵的に苦悩を感じさせるのも上手いなと。

 

 中盤からポール・カージーの自警活動が始まるわけですが、彼の仕事が皆に知れ渡り、一躍彼はヒーローとして扱われ始めます。最初の「不慣れ感」も良かったのです。ここで使われるのがネットの動画が拡散されたという点も現代的だなぁと。ただ、本作はただの暴力賛美映画ではなく、この時点でポール・カージーが悦に入り始める姿を入れたり、終盤で見せる地下室が完全に「イッちゃってる人」の精神世界のようだったり、「自警活動」でポール・カージーが壊れていく姿を見せるのもバランスが取れていると思います。

 

 犯人たちの復讐方法も、非常に胸がスカッとする見せ方をしてくれるなと。あの拷問シーンは最高でしたし、調子乗ってた最後の敵が策にハマってやられる下りの「ざまぁ」感も最高でした。しかもその伏線を自然に張ってある辺りもカタルシスがあります。終わり方も爽快なもので、総じて娯楽作として最高の作品でした。

 

 

 同じような「ナメてた相手が殺人マシーンでした」モノ①

inosuken.hatenablog.com

 

「ナメてた相手が殺人マシーンでした」モノその②

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