暇人の感想日記

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我々の生を肯定し、誇りを与えてくれるフレディ・マーキュリーの物語【ボヘミアン・ラプソディ】感想

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78点

 

 

 11月に公開され、今なお尻上がりに興行を伸ばしているQUEENのボーカリストフレディ・マーキュリーの伝記映画。私のQUEENの知識は、『ジョジョの奇妙な冒険』にスタンド能力の名前で出てきたな程度の浅はかとすらいえないレベル。そんなQUEENに対して全くの無知である私が何故本作を観たのかといえば、それは単純に大ヒット中だからです。しかし、本作は、そんなQUEENに何の思い入れもない私ですら感動させてしまえるほどのパワーを持った作品でした。

 

 私が泣いた箇所は皆様と同じくラスト20分のライブ・エイドです。ここで、何故泣けたのかを考えてみると、それはこの20分までに「フレディの生き方」を存分に見せているからだと思います。

 

 映画はまだフレディが「ファルーク・バルサラ」だった時代に、ブライアン・メイロジャー・テイラーと出会うところから始まります。そこからQUEENを結成し、売れっ子バンドになっていく過程はめちゃくちゃテンポが良いです。確かに展開的に唐突だったりする箇所もありますが、そこもQUEENの楽曲の力で無理やり見せてしまっています。ここはQUEENの力の貢献が大きいですね。

 

 描かれるフレディは、自由に、そして心の赴くままに生きているように思えました。しかし、彼の人生は良いことばかりではなく、ゲイであることからメアリーとの関係が壊れていき、それとともにQUEENも一時活動休止、自身も破滅のギリギリまで追い込んでしまいます。そのどん底まで落ちた彼がQUEENに戻ってきて臨んだのがラストのライブ・エイドなのです。このライブ・エイドが泣ける理由は、1つは紆余曲折あったフレディが、自身のこれまでの人生の全てを以て、「これが自身の生きた証だ」と訴えかけている気がしたためです。

 

 そして2つ目は、楽曲の力。このライブ・エイドの最後で彼が歌うのが「We Are the Champions」なのです。これがこれまでのフレディの人生を見せられたおかげで、歌詞の意味が存分に伝わってきました。彼はここで、我々はチャンピオンだ。これまで生きてきた人間全てがチャンピオンなのだ、と言っています。これはフレディの人生もそうですが、そこにいた観客の、そして映画を観ている我々の人生そのものを肯定し、誇りを持たせてくれているような気がして、私は泣いてしまったのです。

 

 確かに、拙い箇所も多々あります。キャラクターの描き方だとか、普通の伝記映画から抜け出ていないストーリーなどです。ただ、彼らが発表した楽曲を聴いてみると、彼らが、フレディが我々に伝えたかったことを伝えることに本作は貢献できているのではないかと思います。だからこんなに大ヒットしているのだと思います。それがちゃんとできているだけで、本作は素晴らしい作品だと思います。

 

 

 こちらも人生を肯定する映画だと思います。

inosuken.hatenablog.com

 

  同じく音楽が題材。映像テクニックが抜きんでていて、ぶっちゃけ変な映画です。

inosuken.hatenablog.com