暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

世界観はさすが。でも、話の前半部分は必要ない気が・・・【ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅】感想

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55点

 

 

 実は私、『ハリー・ポッター』は直撃世代でして、原作はもちろん全巻読みましたし、映画も全て観ました。ポッタリアンほどではないにせよ、人並みにはファンのつもりです。しかし、本作は上映当時鑑賞しませんでした。理由は大きく2つあって、1つは単純に時間がなく、それなら別に観なくても良いかなと思ったこと、2つ目は、無い時間の間を縫って同時期に公開された『この世界の片隅に』を観るのに忙しかったためです。

 

 あれから2年経ちました。上映当時は大ヒットしていた本作も、今やソフトがレンタルされています。続篇も近々公開されるというし、11月は観たい映画もそこまで多くないので、続篇の予習として本作を鑑賞しました。

 

 感想としては、正直、「微妙」といったところです。魔法を使ったシーンは迫力があって素晴らしかったのですが、肝心のストーリーが微妙なのです。

 

 『ハリー・ポッター』シリーズの見所は、VFXを駆使して再現されるあの魔法世界です。小説で描かれていたアイディア溢れる魔法を実際に見せてくれるため、その憧れの世界に浸ることができるのです。第1作が公開された2001年にしても当時の技術をフルに使っていましたが、あれから時は経ちました。17年を経て、VFXも驚異的な進歩を遂げました。それを使って描かれる魔法は、やはり素晴らしい。「アロホモラ」や「アクシオ」など、懐かしの呪文が出てくるとそれだけでテンションが上がります。さらに、お馴染みのスペクタクルな映像も進歩しています。やっぱりここは素晴らしいです。

 

 また、『ハリー・ポッター』シリーズとの差別化も面白いです。主人公が「子供」から「大人」へ移ったことから、物語の舞台はホグワーツという狭い空間から世界という広い空間へ、そしてその世界も魔法の世界から「ノーマジ(普通の人間)」の世界に変化しています。そしてそこには「人間と魔法使いの対立」があるらしく、「X-MEN」よろしく魔法使いがマイノリティの象徴になっていて、今の時代にふさわしい要素が揃っているように見えます。

 

 ただ、それらはただ提示されるだけで、大して活かされず終わります。まぁ、これは続編が決定しているそうなので、これから深まっていくのかなと思うので、そこに期待します。しかし、それを見逃しても、肝心のストーリーが問題なのです。

 

 本作の大筋は2つあります。1つは予告でも流れていたように、ニュートの鞄から逃げ出した魔法動物を回収する下り、そしてもう1つは、「オブスキュラス」を巡る悪の魔法使いとの攻防です。これ事態は良いのです。問題は、この2つが全く関係が無く、ストーリー上で絡み合わないのです。魔法動物を回収し終えたニュートは、いつの間にかオブスキュラスを止めなければという使命感に目覚めます。

 

 また、魔法動物回収の下りとかはニュートが蒔いた種なので、あまり応援できない。これなら、ニュートが来た理由を「凶悪な魔法動物が逃げ出したかもしれない(=オブスキュラス)からその回収のオブザーバーとして来た」とかにした方がよかったんじゃないの?

 

 「魔法動物回収」の下りも大して面白くないのも問題だなぁと。ここでニュートの「スペシャリスト」感を出してほしいと思っていたのですが、捜索も結構場当たり的だし、捕獲の下りも全く緊張感が無いです。

 

 キャラクターも問題です。魅力的になりそうな要素はあるのですけど、彼らの行動理由がよく分かりません。ヒロインは初期対応でミスってると思うし、男子禁制の寮に男を連れ込む理由もよく分かりません。ジェイコブは私たちと同じ視点を持った存在として登場させているのは分かるのですが、そんなに活躍していないのでいる意味あるのかと思ってしまいます。だからクイニーに惚れられる理由もよく分かりません。まぁ、上述の「魔法使いと人間」のテーマから考えると、今後重要な役を担うのだと思いますけど。そうだよ、な?故に、彼らが今何を思ってそれをしているのかが分からず、全体的に展開が場当たり的な気がします。彼らは通り一遍のことしかしていないので、心情がよく分からず、感情移入できないのです。

 

 このように、本作は、VFXは素晴らしいのですが、ストーリーは微妙でした。それでも観れたのは、やはりこの世界感が好きだからだと思います。次回はしっかりとした筋があるそうなので、期待したいと思います。