７８点
『アントマン＆ワスプ』の公開に合わせ、過去作である本作を鑑賞。これでMCU作品はほぼ鑑賞しました（まだ『インクレディブル・ハルク』が残ってるけど、観るかどうかは微妙）。感想として、とても面白かったです。
本作のヒーローは、最小１．５ｃｍまで縮むことができるアントマン。多分、世界でもかなり小さい部類のヒーローでしょう。この身長に比例してか、本作は他作品と比べると話の規模も非常に小さいです。ですが、公開順を考えれば、本作の前に公開された『エイジ・オブ・ウルトロン』が結構シリアスな内容だったので、それを緩和するという意味では、この規模と話のいい意味での軽さも納得です。
ＭＣＵ作品は、作品ごとに毛色が違います。『キャプテン・アメリカ／ウィンター・ソルジャー』はポリティカル・アクションでしたし、『マイティ・ソー』は宮廷ものでした。本作も同様に毛色が違っていて、言うなれば、ケイパーものです。そしてそれがよく出来ていて面白い。
主人公たちの目的は１つ。ダレン・クロスの野望を阻止するために、試作スーツの奪取し、そのデータの破壊すること。そのためにアントマン・スーツと虫たちを使って１つ１つ準備を重ねていく様子は観ていてとても面白いです。また、主人公の空き巣スキルの描き方も鮮やかでした。
また、「１．５ｃｍまで縮める」ことを活かしたアクションも良かったです。ファルコンとの戦いでは一寸法師的な王道な戦法も見せてくれましたし、終盤の戦闘では、小さくなってトーマスに乗って、オモチャの中で戦うなど、工夫されていましたね。そして、時折それを普通の大きさの人間視点で描くことで、周囲には何の変化も起きていないことが強調されているのも笑いを誘います。
これらも良かったのですが、それにさらに「父と娘の物語」が加えられています。本作は、この作戦を通して、父親が娘と和解、若しくは尊厳を取り戻す話でもあるのです。そして尊厳を取り戻し、娘にとっての「ヒーロー」となるのです。つまり、オリジンとしても良くできているのですね。軽い気持ちで楽しむには、うってつけの作品でした。
