暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

良い所もあるけど、「答え合わせ」しかないストーリーが残念【ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー】感想

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56点

 

はじめに

 『スター・ウォーズ』シリーズのスピン・オフ第2弾。今回の主人公は本編の中でも屈指の人気を誇るハン・ソロ。主要キャラが一切出なかった『ローグワン』の成功を考えれば、今回の成功は半ば約束されたような気がしていましたが、監督の交代劇という制作側のドタバタもあり、蓋を開けてみればアメリカ本国では『スター・ウォーズ』シリーズ中最低の興行収入をあげてしまいました。日本でもその余波が来ているのか、興行収入は微妙で、公開4週目の『万引き家族』とどっこいどっこいの成績を上げています。そんな状況下なので、私もあまり期待値を上げずに鑑賞しました。

 

「答え合わせ」のストーリー

 結論として、その下げた期待値通りの微妙な作品でした。その最大の原因はストーリーです。話の筋があるにはあるのですが、そのどれもがこれまで謎とされてきたハン・ソロの過去(ケッセル・ランの下りとか、チューバッカとの出会いとか、愛銃の入手方法とか、ミレニアム・ファルコン号との出会いとか諸々)を明らかにするためだけに作られている気がしたのです。つまり、ストーリーがあってこれらの謎が解き明かされるのではなくて、まずこれらの「謎」ありきでストーリーが作られ、この「謎」に辻褄が合うように都合よくストーリーが進んでいるのです。しかもそれらはただ「解明」しただけでそれ以上のことが起こらないので、全体的に平板なストーリーな印象を受けます。しかも、これらの外見上の辻褄合わせはやるくせに、内面の描写があまりないので、ソロのキャラがよく分からなくなっています。これは他のキャラクターにも言えます。

 

 そしてこの問題は、『スター・ウォーズ』という作品の性質上、どうなんだと思いました。私はそこまでファンではないのですが、知人や、著名な方、マニアックなファンの方々の話を聞いていると、『スター・ウォーズ』シリーズはこれらの解明されていない謎に想いを馳せることで神聖化していった面もある気がするのです。それにこんな中途半端な答えを出していいのだろうか?などと思ってしまいました。

 

 また、問題点としては、画面全体ですね。とにかく暗く、観にくい。しかも所々閃光が起こったりするので眩しく、目に悪いです。

 

良い面

 このように、悪い面ばかり書きましたが、良いと思ったところもあるのも確か。まずは作品全体の雰囲気です。監督がインタビューで、モチーフとなった作品の1つとして『大脱走』を挙げているように、本作は、抑圧されている者が抗う物語だったと思うのです。抑圧されている者たちが冒頭のソロのように、暗闇の中に自らの力で明かりを灯す話です。これは勝手な解釈ですが、『スター・ウォーズ旧3部作』に繋がる精神だと思います。あれも帝国の圧政からの脱却の話だったし。そしてそれに西部劇の要素を現代的にして付け足しているのも見事だと思いました。そしてこの精神は、一匹狼のアウトローハン・ソロに見事にマッチしています。だから題材は完璧なんだよなぁ。

 

 後、良かったのはチューバッカですね。全体的にマスコット感が増していましたが、やはり操縦席に2人並んだときは気分が上がります。ここだけなら素晴らしかった。

 

おわりに

 このように、良い面もあるにはあるのですが、それらを消してしまうくらいにストーリーが微妙だと思いました。ディズニーはスピン・オフ計画を見直すそうですが、そうした方がいいと思いますよ。だってこの調子だと、どんどん謎を解くだけの話が量産されて、銀河が狭まってしまいそうですからね。