暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2018年春アニメ感想③【ソードアートオンライン オルタナティブ ガンゲイルオンライン】

f:id:inosuken:20180704001115j:plain

 

 

・はじめに

 大ヒットアニメ『ソードアートオンライン(以下SAO)』。そのスピン・オフ作品。実は、私は本家のSAOはTVアニメ1期しか見ていないニワカです。なので、この記事の中でSAOについての言及があった場合、基本的に1期までの知識でモノを言っています。すいませんね、何か。そんな私が何故本作を視聴したのか。それは『キノの旅』の原作者コンビ、時雨沢恵一先生と黒星紅白先生の作品だからです。原作も1巻だけ買って読んでいます。基本的に面白かったのですが、文体がですます調で非常に違和感を覚えたので続けて読むことを断念してしまいました。その程度には作品を知っていたので、作品を応援する意味も兼ねて視聴した次第です。

 

・本家『SAO』と本作

 本家のSAOは、最初のアインクラッド篇では「ゲーム内の死=本当の死」という文字通りのデス・ゲームが繰り広げられ、続くフェアリィ・ダンス篇ではデス・ゲームという設定が消え、緊張感こそ減りましたが、「囚われのアスナを奪還する」という目的がありました。さらに、これらの目的と並行して、ゲーム内で少年少女の葛藤やら何やらも語られていきます。このように、本家は舞台をゲームに移しただけで、やっていることはそれまで出てきた王道のエンタメ作品と変わりません。だからこそここまでヒットしたのかなぁなんて思います。後は俺TUEEEEか。

 

 本家はこんな感じでしたが、代わって、本作はどうかと言うと、「ゲームである」ことが本家以上に強調された作りだったと思います。本家のように複数のゲームを渡り歩いたりはせず、「ガンゲイル・オンライン」という1つのゲームの中で話が展開され、皆が戦う理由も「銃器マニアの作家」が用意したイベントですから、そのように感じるのだと思います。また、何回か1人称視点が出てきたのも印象的でした。まぁ、そもそも、銃マニアである時雨沢先生がSAOのGGO篇を読んで「本気でサバゲーができる」と思ったところから原作の企画がスタートしているので、それは当然の結果なのかもしれません。

 

・「ゲームである」ことを強調した功罪

 ただ、こうすると本家にあった緊張感が薄れてしまうと思います。いくら主人公たちがピンチに陥っても「まぁゲームだし」と思ってしまい、そこまでハラハラしないのです。そこらへんは時雨沢先生も分かっているようで、対策としてピトフーイを破滅願望を持つイカれたキャラにすることで、本家にもあったデス・ゲーム感と緊張感、レンが戦う理由を出そうとしていました。しかし、個人的な感想を書くと、これは結構無理くりな気がして、見ている間は最後までよく理解できませんでした。というのも、最後までキャラが良く分からなかったんですよね。

 

 以上の理由ではノレませんでしたが、レンが「今、何があり、どういう選択をすれば相手に勝てるのか」を考える戦いに勝つためのプロセスは見ていてそれなりに楽しめました。まぁ若干レンがチートすぎな感じがしなくもないのですが。

 

 また、「ゲームである」ことを強調したことでエンタメとしての面白さが薄れたと書きましたが、その代わりに、それを逆手に取った表現方法も見られました。肉体の損傷描写です。ゲームであることを良いことに、四肢が千切れる、首ちょんぱ、胴体真っ二つ等、リアルな世界だったら絶対に表現不可能なものに挑んでいます。スピルバーグ並の発明じゃないか(笑)。 

 

・ストーリー

 ストーリーも時雨沢先生が3の倍数ごとに一区切りつけるという法則が功を奏したのか、上手くまとまっていました。最初にレンがMとチームを組んで戦っていたことで、セカンド・スクワットジャムでのレンの指揮ぶりに説得力が出たり、序盤の要素が終盤で回収されて物語が動き出すところとか、最後にピトフーイの正体が分かるなど(まぁ大半の人は序盤で気付いてたと思うけど)、ちょうどよく終わっています。

 

 ただ、やはり時雨沢先生、盛り上がりの展開を作るのがあまり上手くない。第11話の自爆展開とか、直前のあのテンプレやりとりを聞いてて少し恥ずかしくなりましたし、第12話の仲間の行動も正直意味が分からん。しかもキャラクターの言動が妙に芝居がかっているor痛々しいのも何だかなぁ。

 

・おわりに

 このように、ストーリーは程よくまとまっていますが、「ゲームである」ことを強調した結果、今一つ乗り切れない作品だったかなと思います。ただ、『SAO』のスピン・オフと期待して見ると肩透かしを食らうかもしれません。

 

 

同じ原作者のアニメ化作品。こっちも言いたいことがたくさんありました。

inosuken.hatenablog.com

 

 

 原作小説。文体が本編と合っていない気がして、少し読み辛い。