暇人の感想日記

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銀河の歴史。その最初の1ページ【銀河英雄伝説 わが征くは星の大海】感想

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75点

 

 日本アニメ史に燦然と輝く傑作『銀河英雄伝説』。その初めてのアニメ化作品。本編OVAは全話鑑賞済みです。こちらも早く感想を挙げなくては。で、こちらの感想としては、とても面白かったです。最初のアニメ化だけあって、『銀河英雄伝説』のエッセンスが詰め込まれていて、入門編として最適だと思いました。OVA本編を見た人が見ると、首を傾げるところも無いではないですが、最初のアニメ化だと考えれば納得できると思います。

 さて、私は本作を観て、ある作品を思い出しました。『ルパン三世 パイロットフィルム版』です。まぁ本作は、元々は『銀河英雄伝説』のパイロットフィルムなわけですから、似ているといえば当然なんですよね。どちらの作品にも、作品の基本となる要素を並べてストーリーを作っていて、観た人に作品の基本的な内容を伝えるものになっていました。そのため、登場するキャラはどこか一面的だったり、「こんなこと言うか?」と疑問に思う発言もあったりして、微妙に本編とは違ったキャラになっています。また、本編に出てくるキャラのキャストが一部違っていたり、立ち位置が変わっているキャラもいます。こういうところもパイロットフィルムですね。

 ストーリーは惑星レグニツァ上空の戦い、そして第4次ティアマト会戦を描いています。展開はOVAの1話・2話と酷似しています。あちらが意図的に同じにしたのかな。ここも、本作が入門的作品であるという点です。

 そして、本作の非常に大切な要素「ラインハルトとヤンのスタンスの違い」も、両者を並行して描くことで明解に描いています。ラインハルトは上の圧力を撥ね退け、実力を以て無双する。対してヤンは与えられた条件の中で最適な戦いを展開し、生き残るのです。

 最後に、音楽について。OVA本編では、クラシックが多用され、それが作品の面白さを際立たせるのに一役買っています。しかし、本作におけるボレロの使い方はその中でも群を抜いて素晴らしいと思いました。

 ご存知の通り、ボレロは15分あり、その間、同じメロディを何度も繰り返します。そして、繰り返すごとに徐々に徐々に曲調が高まっていって、最後にはとても激しい音楽になります。これが劇中の最初は穏やかだけど、どんどん戦況が拡大していく様と見事にマッチしています。そして演奏が終了したところで全軍が止まり、ヤンが「静かだ」と言うタイミングも完璧でした。

 このように本作は、60分という丁度いい尺の中で、『銀河英雄伝説』のエッセンスをまとめた、入門編として最適な作品だと思います。