暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

【キノの旅-the Beautiful World-】コミカライズ版の感想と比較

 昨年は『キノの旅』のファンにとって、夢のような年でした。アニメ化、コミカライズといった、ずっと夢見ていたことが次々に実現したからです。アニメは正直、言いたいことがたくさんある出来になってしまいました。それは下の記事に書きましたので、興味と時間のある方はどうぞ。

 

inosuken.hatenablog.com

 

 では、コミカライズはどうかと言うと、「文句なし」の一言です(何様だ)。現在連載されているのは「少年マガジンエッジ」のシオミヤイルカ版、「電撃大王」の郷版の2種類です。このどちらもが、それぞれ味があってとても面白い。どちらも『キノの旅』の世界を完璧に漫画にできていると思います。以下に、それぞれの感想を比較を交えながら書いていきたいと思います。

 

・「郷版」

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 電撃大王に連載されている作品です。同じKADOKAWAだからか知りませんが、絵はこちらの方が原作のイラストに近いと思います。

 こちらの方で特筆すべきだと思うのは、キャラの躍動感かな、と思っています。コマ内で流線が多用され、「動き」が強調されていると思いました。コマごとに絵がキマッているシオミヤ先生のとは異なっていますね。

 そして話のチョイスもこの特徴を生かせるものになっています。要はアクションが映える話ですね。これについては時雨沢先生もコミックナタリーのインタビューで述べています。下にリンク貼っときますね。

 

natalie.mu

 

 このように、絵と動きは非常に良いなと思うのですが、ちょっと気になるのが構成。原作の内容を何とか既定のページ数に収めようとしていて、結構キツキツなんですよね。コマの中に台詞が多くなってしまっていたり、コマとコマの間の展開が急だったりしてます。なので、もう少し余韻が欲しい時に不満を覚えてしまいます。

 でも、これはこれで読んでいて面白いので、全然いいです。全体としては、素晴らしいコミカライズだと思います。こちらは話のチョイス的には、ファン向けかな。

 

・「シオミヤイルカ版」

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 次はこちら。絵は郷先生のと比べると、やや原作から離れています。しかし、それは慣れればそんなに問題ではないです。たとえ問題に感じたとしても、私はこちらには大満足していたことでしょう。何故なら、こちらはその他の部分が素晴らしすぎるからです。

 こちらは上の対談で言及されているように、非常にゆとりをもって書かれています。具体的には、1つの話につき基本2話使われています。これによって、詰め込み過ぎることなく展開ができていて、コマとコマ間の間の取り方が完璧です。そして、コマ割りとか構図も素晴らしく、ゾクッと来るコマが多々あります。例えば、1巻p.132の1コマ目。眼鏡で目を見えなくして、台詞通り「距離をとっている」描写。初めて読んだとき、鳥肌立ちました。この回は全体的に眼鏡が印象的でしたね。他には、「レール上の三人の男」で同じコマ割りと構図を繰り返していたり、本当、贅沢に作られています。アニメもこれだけ贅沢に作ってくれたらなぁ・・・。

 また、郷先生の方で書きましたが、コマごとの絵のキマリッぷりは半端じゃないと思います。1コマごとに台詞を補完する背景があったり、アクションでも絵が良いです。頭悪い文章だなぁ・・・。キャラの絵でいえば、モブも素晴らしいですね。特に国民がイッちゃってるときの感じとか。それ以外でも、静かな狂気みたいなものが感じ取れるときもあり、『キノの旅』の世界のモブを本当にそのままコミカライズできています。

 後は細かいですけど、こちらは郷版よりもオマケが充実している気がします。表紙は1,2巻は原作の該当巻のオマージュですし、単行本冒頭の「捏造」も楽しんで読んでいます。1,3巻のものは目頭が少し熱くなりました。それ以外にも、時雨沢先生の書き下ろしがもう1本あったりするし。

 総じて、こちらも素晴らしいコミカライズだと思います。こちらは初心者の方にもお勧めできますね。

 

・まとめ

 どちらの先生にも特徴があって、コミカライズには恵まれたと思います。どっちも買っていきます。欲を言えば、両先生に同じ話を書いていただき、比較をしてみたいなと思っています。個人的には郷先生が書く「コロシアム」、シオミヤイルカ先生が書く「優しい国」を読みたいです。