暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

【マイティ・ソー バトルロイヤル】感想

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78点

 

 「マイティ・ソー」3部作最終作。今回も例によって、オーディンの過去の負債をソー、ロキの兄弟が清算する話。毎回毎回親父の負債を処理させられる2人には同情を禁じ得ませんが、今回は事情が違います。今回の敵はソーの姉、破壊の神・ヘラ。アベンジャーズ史上最強の敵で、ムジョルニアを軽々と破壊するほど。もちろんソー1人で何とかなるわけもないので、予告のように「リベンジャーズ」を結成し、アズガルドを、宇宙をかけた死闘を繰り広げます。このように、本作では神と神が本気で喧嘩するという、まさにラグナロク(神々の黄昏)」が起こっていました。邦題は気にしない。

 しかし、あらすじに反して内容はギャグ連発のコメディ映画でした。深刻な事態なのに全体の雰囲気とか、キャラクターは妙に楽観的で漫才みたいなやり取りばっかりしてます。このシリーズは、それまでは多少ギャグシーンはあったにせよ、全体的にはシリアスな作風でした。それが今回はガラッと変わっています。それはキャラクターの性格すら変えていて、ソーは(前からその兆候はあったにせよ)完全な脳筋と化し、ロキは完全にギャグキャラになりました。というかギャグ的なおいしいところはだいたいロキが持っていきました。他にも外しギャグが満載でしたね。ただ、外し過ぎてるところもあるなと思っていて、具体的には終盤のハルクのシーンですね。あそこは別にそのまま変身でいいと思うの。ちょっと冷めちゃった。

 これで内容が面白くなかったら問題ですけど、これがとても面白い。個人的に3部作で1番好きです。「アイアンマン3」と同じく、ソー自身のアイデンティティをめぐる話でした。彼の武器はムジョルニアです。戦闘は基本それ頼み。ですが、今回で破壊され、ついでに国も奪われてしまいました。もう彼には何もありません。彼は全てを失くし、自分が何者であるかを考えなければならないのです。そして彼が自身のアイデンティティに気付き、真の力を解放した時に、「移民の歌」が流れるわけですよ。あそこは無条件に気分が上がる素晴らしいシーンでした。

 戦いの過程でオーディンのように隻眼になるのも「王になった」ことを示す自然な流れだったと思います。そして、結果的に「創世記」のように流浪の民になるのも興味深い終わり方でした。終盤はソーがモーゼみたいでしたしね。

 このように、「ソーの物語」はここで完結だと思います。ロキとのしこりも(多分)取れたし、「王とは何ぞや」にも答えを出せたし、アイデンティティも獲得できたし。しかし一方で、アイデンティティを喪失してしまった人がいます。そう、ブルーズ・バナー/ハルクです。結局、彼はハルクになったままでした。本作は「ハルクの物語」の側面もありました。殻に籠ってたバナーがもう一度戦う決心をするまでの話でもありました。でも、もうバナーには戻れないのか、そして、彼自身の成長はどうなるのか。全てはこれからのMCUにかかっているのでしょうね。

 

 私の前2作の感想はこちら。

inosuken.hatenablog.com

 

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