暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

【RE:BORN】感想:世界と渡り合える、日本のアクション

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90点

 

 タマフル監督自薦枠で取り上げられていたことで存在を知りました。そこで読まれた監督の「世界と渡り合えるアクション」とはどんなもんじゃいな、と思い、鑑賞しました。

 いやぁ、凄まじいアクションでした。ストーリーは正直、単純です。穏やかな暮らしを送っていた男が、自らの運命にケリをつけるために敵対する組織と戦う話です。ですが、そんなことは気にならないくらい素晴らしいアクションの連続でした。正直、日本のアクションの数段上のレベルのアクションが繰り広げられます。

 本作のアクションの何が素晴らしいかって、とにかく動きに一切の無駄が無いこと。予告でも映っていた肩をゴリィ・・って回すのも、「ウェイブ」という名がある動きで、体の柔軟性を保つ、というちゃんとした意味があります。そしてとにかく動きが速い。CG処理しているのかと思えるくらい速いです。目にもとまらぬ速さで技が繰り出されます。さらに戦いの後にきちんととどめを刺している点も素晴らしかった。終始、「これがプロの動きか」と圧倒されていました。

 素晴らしいのはこうした身体的なことだけではありません。戦い方も一々工夫されていて、見ていて飽きません。一工夫ある戦闘は主に序盤に多いです。例えば、一番最初の人混みの中の戦い。周りに全く気付かれず、一瞬で相手を仕留める姿は見ていて痺れましたね。そして、敵と間合いを詰めるまでも面白かった。向かってくる敵の1人の持っている銃を取り上げてから、弾倉に残った弾を抜きながら間合いを詰めていくアレです。弾抜きの音が緊張感をどんどん高めていました。後、ここで初めて「説得力ある弾避け」を見ました。電話ボックス戦ももちろん最高。

 さて、日常描写と一工夫ある戦闘を見せられ、我々のテンションが高まってきたときに始まる後半60分の大戦闘シーン。ここでは工夫もクソもない、ただの殺し合いです。ここで目を引くのは、主人公・敏郎はほとんど武器を使わないこと。彼はひたすら素手で戦っています。では銃アクションは無いのかと言えばそんなことはない。そこは敏郎の仲間、マックスとマサルが担当します。彼らのコンビネーションも無駄がありません。リロードのときとかとても良いし。

 ただ、ここまで見たこともないアクションを見せつけてくれましたが、最後のだけは一際異様な雰囲気を放っていました。アビスウォーカーと敏郎の戦いです。何故だろう、と思ってパンフを読んだら、段取りとかなく、本当に戦っていたそうです。信じられん。

 ここまで、アクションについて書きました。次に作品の雰囲気についてです。本作には、全体的に独特の雰囲気があります。まるで、敏郎たちの見ている「彼らの世界」のような異様な雰囲気です。というのも、TAKさんが尋常ではない存在感を放っているためです。彼、目線が「ここ」を見てないのです。常にどこか遠くを見ている。だから強盗にあっても平然としているし、カウンセリングを受けていても、上の空な感じ。コンビニ弁当食べてる時も、めっちゃ機械的。世間から浮いている印象を受けますが、戦闘が始まると、途端に違和感が消し飛ぶ。ここからも、彼が「あちら側の人間」であることが分かります。それもそのはずで、彼は常に沸き起こる破壊衝動を抑え込んでいるんですよね。

 また、本作の登場人物には共通することがあります。それは、「何かに命を懸けている」ことです。マサルとマックスは敏郎のためなら死んでもいいと思ってるし、健二は死に場所を探している男です。そして敏郎は、サチに。ここに彼らの生き様があります。

 このように本作は、ジャンルとしては、「なめてた相手が殺人マシーンでした」型と言えるかもしれません。ですが、戦闘の「本物」が関わった圧倒的アクション、男たちの壮絶な生き様を描いた、異様な雰囲気を持った作品だったと思います。アクションは本当に必見です。