暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

【グロリア】感想

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75点

 

 「レオン」の原型と言われるハードボイルド・アクション。以前から見たいと思っていたので、午前十時の映画祭でかかったのを機に鑑賞しました。

 「レオンの原型」と言われるだけあって、大筋はほとんど同じ。年が離れた2人の、奇妙な絆の話です。ですが、「レオン」はアクションにも力を入れていたのに対し、本作はどちらかと言えば、グロリアとフィルの絆を描くことに力を注いでいます。アクションは合間合間の、タランティーノのような突発的に始まる拳銃アクションです。

 「レオン」にはスタンスフィールドという分かりやすく、そしてとてつもなく濃い悪役がいましたが、本作では敵は「マフィア」そのものであるため、敵となる明確な対象がいないことも挙げられます。しかも、彼らは「倒す」対象ではなく、そいつから「逃げる」対象です。

 本作でとにかく素晴らしいのはジーナ・ローランズです。夫が監督をしているせいか、とにかく彼女の魅力が半端じゃない。追ってくる組織の男どもに臆することなく、フィルを守ろうとする姿に憧れます。しかも、完璧な人間じゃないのがいい。時に見せる弱さが、彼女の魅力をさらに引き立てています。正直、本作は彼女を見る映画と言っても過言ではありません。

 そして子どもであるフィルですが、こいつがいい感じに生意気なんですね。最初は反抗的だったのに、グロリアの姿を見て徐々に惹かれていくところとかは見ていて微笑ましい。本編はグロリアの心情変化とともに進むので、観客も最後には「守らなきゃな」と思うようになる。この辺りも何か上手いなと。

 映画は最終的に、2人が町を出る話になっていきます。過去のしがらみを断ち切り、2人で新しい人生を歩む。「レオン」はレオンが死んだことで、マチルダにとっての「永遠の存在」になったと勝手に思っていますが、本作では2人が生きてまた会うことで、これからも2人の人生が続いていくことを示している気がしました。