暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

不確かな世界の中で、確かに「本物」と言えたもの【万引き家族】感想

98点 ・はじめに 是枝裕和監督最新作。公開直前にカンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドール賞を受賞したことで話題となりました。また、日本人監督として21年ぶりの快挙であることから、この手のアート作品としては2週連続興行収入第1位という異例の大ヒ…

2018年夏クール視聴予定アニメ一覧

言い訳と新方針 久しぶりのTVアニメ関連の記事。以前、「1話を見て感想を書き、全部見てからまた総括を書く」と書いていましたが、ご存知の通り全く出来てません。映画の記事を書くのに精一杯で視聴しているアニメ全ての感想を書いていたらそれだけ膨大な時…

笑いあり、涙あり、友情あり、メッセージありの超1級の娯楽作。【犬ヶ島】感想

88点 はじめに ウェス・アンダーソン監督が、日本への愛を存分に詰め込んだストップ・モーションアニメ。設定からすると大変奇抜な映画かと思うかもしれませんが、その実、内容は笑いあり、涙あり、友情ありの王道の活劇であり、同時に非常に政治的な内容…

デッドプールだからできる、極めて真っ当なヒーロー映画。いやマジで。【デッドプール2】感想

90点 2016年に公開され、大ヒットした『デッドプール』の続篇。前作は「型破りヒーロー」を謳い、メタ発言、パロディ、下ネタ、グロ何でもありな非常に自由な作品でした。ですが、前作はそれらの要素が絶妙なバランスで配され、結果、MCUもびっくりの…

一瞬しかない青春のきらめきを切り取った、宝石のように美しい作品【君の名前で僕を呼んで】感想

78点 今年のアカデミー賞で脚色賞を受賞した作品。題材的にあまり興味がなかったですが、時間的に観れると考えたので、『犬ヶ島』とはしごしてきました。 とても美しい映画でした。夏のイタリアの美しい景色、照らす太陽の光、そして登場人物たちの裸体。…

資本主義というシステムの中で戦う母親【ゲティ家の身代金】感想

88点 スキャンダル続きだったハリウッドの中で、おそらく最もスキャンダラスだった作品。公開まで1カ月半しかない時期に、主演のケヴィン・スペイシーがセクハラ問題で降板し、急遽クリストファー・プラマーを代役に9日間で22ショットを撮り直したので…

規格外ヒーロー・デッドプールの最大の反逆【デッドプール・キルズ・マーベルユニバース】感想

著者:カレン・バン(ライター)、ダリバー・タラジッチ(アーティスト) 翻訳:小池顕久 発行所:ヴィレッジブックス ・前置きという名の言い訳 2年前、私は「アメコミヒーロー映画」弱者でした。MCUすら何なのか知らなかったくらいです。そんなアメコミ映…

オタクの「夢」が詰まった超ド級エンターテイメント【レディ・プレイヤー1】感想

80点 観ている間、そのあまりにも独創的な世界観に頭がクラクラすること必至な本作。私も公開当初から観たかったのですが、どうにも時間が取れず、結局観るのが1カ月遅れてしまいました。 結論から言うと、「モヤモヤが残るけど、めっちゃ楽しかった」で…

立ち上がった「普通の人」の話【タクシー運転手~約束は海を越えて~】感想

92点 1980年5月に起こった光州事件を題材にした映画。韓国は民主化までの歴史的な背景のためか、こういった題材の作品には他の国とは違った熱量を感じますね。しかし、本作で描かれていることは、「過去のこと」や「軍部の暴走」といったことを超え、…

「君が代」の成立過程がよくわかる。変な意味ではなく、日本人必読だと思う。【ふしぎな君が代】感想

著:辻田真佐憲 発行所:株式会社 幻冬舎 ・前書き 当ブログの紹介文ではこう書いてあります。「映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです」と。ですが、記事を見渡してみたら、あるのは映画とアニメの感想ばかり。本の記事は、漫画とラノベだ…

どいつもこいつもバカばっか。「真実」なんてクソくらえ!【アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル】感想

85点 「バカばっか」 鑑賞後、『機動戦艦ナデシコ』のルリルリよろしくこう思ってしまう本作は、ナンシー・ケリガン襲撃事件でスケート界を追われた女性スケート選手、トーニャ・ハーディングの半生を追った実録映画です。しかし、その内容はただの「実録…

今の時代、こんな熱量のある映画が観られるなんて!消えかけていた東映の「血」の継承【孤狼の血】感想

93点 『仁義なき戦い』『県警対組織暴力』にインスパイアされた小説を、東映が、白石和彌監督で制作する。これを聞いたとき、胸が高鳴ったのを覚えています。面白くないわけがない。今年最も楽しみにしていた作品でした。 映画が始まって、まず現れるのは…

良質な大河ドラマに匹敵する面白さ。【銀河英雄伝説(旧作OVA版)】感想

日本アニメの歴史にその名を残す傑作アニメ。このブログでは、過去に劇場版2作(『我が征くは星の大海』、『新たなる戦いの序曲』)の感想をアップしてきました。今回は本伝の感想になります。劇場版は尺の問題もあり、局地的な戦いにクローズアップしてい…

MCUの総決算としてヒーローへ突きつけられたもの【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー】感想 ※ネタバレあり

94点 『アイアンマン』から始まった、MCUの10年間の総決算。公開されるやいなや世界中で特大ヒットを飛ばし、観客の評価も上々。世界中でこれまで積み上げてきた熱が一気に燃え上がっている気がします。私としてもそんなビッグ・ウェーブに乗るため、去…

2人の青春と心の距離を濃密に描いた傑作【リズと青い鳥】感想 ※ネタバレあり

98点 GW中は諸事情により、映画が観られないという拷問のような日々を送っていました。6日にその諸事情も一段落して、少しは楽になりましたので、ようやくずっと観たかった本作を鑑賞しました。 今年もちまちまと映画を観続けてまいりましたが、1年の折…

「英雄」を批評的に描いた作品。ただのチャーチル礼賛映画ではないと思う【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】感想

85点 原題は『DARKEST HOUR』。日本語訳すると、「最も暗い時間」。この題名の通り、主人公であるチャーチル、そしてイギリスにとっての、最も苦しい時間を描いています。それ故か、映画全体を通して、「闇」が強調された画作りになっています。チャーチル…

より一般向けにした結果、前作が持っていた最大の特色が失われた作品【パシフィック・リム アップライジング】感想

55点 「もし、日本のロボットアニメ、特撮をハリウッドが本気で作ってくれたら」 これは世界中にいる大きな男の子の夢でした。しかし、所詮は夢。叶わないものと多くの人間は諦めていました。しかし、ただ1人、諦めていない男がいました。男の名はギレル…

テロに遭遇した「普通の人々」の話【15時17分、パリ行き】感想

90点 近年、実話を撮り続けているクリント・イーストウッド監督。『ハドソン川の奇跡』以来2年振りとなる彼の最新作は、2015年にヨーロッパで発生した、若者3人が無差別テロを未然に防いだという実話でした。しかし、イーストウッド監督は、前作まで…

まさに「今」観るべき映画【ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書】感想

80点 アメリカ国防省がベトナム戦争に関する経過や客観的な分析を記録し、トップ・シークレットとなっていた文書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」。これを政府の圧力と戦いながらも公表しようとしたワシントン・ポストの面々を描いた作品。作中の舞台設定…

一応【リメンバー・ミー】とリンクしたテーマだけど、長すぎ【アナと雪の女王/家族の思い出】感想

40点 『リメンバー・ミー』と同時上映の短編。ピクサー映画についてくる短編は毎回実験的なもので、結構楽しみにしてたりします。しかし、本国ではあまりのつまらなさと時間の長さから映画館のスタッフが対応に追われ、途中から上映を止めたとか。そんな情…

「忘れない」ことで、人は生き続ける【リメンバー・ミー】感想

80点 国民的漫画『ONE PIECE』。この作品には、今なお語り継がれている名台詞があります。16巻に掲載されているDr.ヒルルクの最期の言葉です。 「人はいつ死ぬと思う?心臓を銃で胸を撃ち抜かれた時・・・違う。不治の病に侵された時・・・違う。猛毒キ…

「信念を貫き通したヒーロー」の完結篇として最高だった【シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ】感想

82点 「アメリカの理想」を体現したヒーローとして、アベンジャーズの中でも中心的な役割をしてきたキャプテン・アメリカ。彼の単独作として3作目となる本作は、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の正統な続篇であり、キャップはもちろん、他…

アメコミヒーローを通して、今、現実の世界で求められているリーダーを描いた快作【ブラックパンサー】感想

86点 MCU最新作。アメリカではMCUの中でも屈指の大ヒットを飛ばしている本作。実際に観てみると、ヒットするのも納得の作品でした。というのも、本作は「ヒーローのオリジン」と「主人公の成長」を軸に話が展開し、それが達成された時、自然と今の世界に向…

誰かの愛に包まれた人生っていいよね。【さよならの朝に約束の花をかざろう】感想

65点 『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』『とらドラ!』『心が叫びたがっているんだ』などで知られる脚本家、岡田麿里。彼女の初監督作。脚本家が監督に転向することは実写だとよくあることです。邦画で有名どころを言えば、宮藤官九郎とか、三…

秀逸なリメイク作品【銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲】感想

78点 『銀河英雄伝説』劇場版第3弾にして、OVA版では最終作。内容はOVA版の1話と2話を元に、外伝の内容などを加味したもので、リメイクに近いと思います。ですが、昨今アニメ界で流行りの既存の映像を切り張りし、新規カットを加えて新たに作り直すもの…

観ると腹が減る、犯罪的飯テロ映画【シェフ 三ツ星フードトラック始めました】感想

80点 この世界には、「飯テロ」という言葉があります。主に深夜など、「飯を食べてはいけない」時間帯に発生し、我々の食欲を刺激するという犯罪に等しい行為です。中でも代表的なのはTVドラマ『孤独のグルメ』シリーズ。出てくる料理、そしてそれを食べる…

「現実の世界」をそのまま切り取った映画【スリー・ビルボード】感想

94点 今月の頭に発表されたアカデミー賞において、最後まで作品賞本命の1つと言われていた作品。その評判の良さは公開前から聞いていまして、2月中に鑑賞していました。しかし、最近どうにも時間が取れず、感想を書くのがこんなに遅くなってしまいました…

人間と愛。それらに決まった形なんて無い。【シェイプ・オブ・ウォーター】感想

93点 突然ですが、ギレルモ・デル・トロ監督は『美女と野獣』があまり好きではないようです。理由は簡単で、醜い野獣が最終的にイケメンになるから。作品が「大切なのは心の美しさなんだ」とのたまっているため、余計にこのラストに疑問を感じたそうです。…

銀河の歴史。その最初の1ページ【銀河英雄伝説 わが征くは星の大海】感想

75点 日本アニメ史に燦然と輝く傑作『銀河英雄伝説』。その初めてのアニメ化作品。本編OVAは全話鑑賞済みです。こちらも早く感想を挙げなくては。で、こちらの感想としては、とても面白かったです。最初のアニメ化だけあって、『銀河英雄伝説』のエッセン…

【キノの旅-the Beautiful World-】コミカライズ版の感想と比較

昨年は『キノの旅』のファンにとって、夢のような年でした。アニメ化、コミカライズといった、ずっと夢見ていたことが次々に実現したからです。アニメは正直、言いたいことがたくさんある出来になってしまいました。それは下の記事に書きましたので、興味と…