暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

『悪い奴ほどよく眠る』の痛快娯楽版【椿三十郎】感想

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96点

 

 巨匠・黒澤明監督の名作時代劇。三船敏郎演じる浪人がほぼ同じキャラクターなため、事実上、『用心棒』の続篇的な作品です。本作の内容も前作『用心棒』と同じく「痛快」な娯楽作品でした。しかし、その「痛快」さは前作とは異なっていて、その違いも非常に面白い作品でした。

 

 『用心棒』はどういう話だったかというと、宿場で2つに分かれている組を無敵の用心棒が翻弄し、最後には全滅させるというものだったと思います。宿場を支配しているヤクザは一見強そうですが、一皮剥けばそいつらは全員小心者のバカであり、そこを喝破されて良いように翻弄される姿がおかしく、一種の痛快さがあったと思います。

 

 では、本作の痛快さは何かと言うと、汚職をしている権力者を、浪人が若者たちと共に倒す」という王道の痛快さです。「権力者の汚職を暴く」これは2年前に撮った『悪い奴ほどよく眠る』を彷彿とさせる内容です。劇中にも「悪い奴らは案外分からんもんだよ、危ない危ない(うろ覚え)」と、『悪い奴ほどよく眠る』を彷彿とさせる台詞が出てきます。しかし、権力者との戦いに敗れてしまったこの作品と比べ、本作では悪い奴らはきちんと成敗されます。このように、本作は現代でも起こっていることが題材なのです。2018年の今でもいますからね。差別的な発言したり汚職したりしても平然としてる奴らが。だからこそ、余計に痛快さや娯楽性が高まります。

 

 このように、『用心棒』とは娯楽性が違うと書きましたが、同じような側面もあります。それは「人間は外見では中身は分からない」ということに形を変えて存在しています。本作では、有能そうな人間こそ悪で、無能そうな馬面が中々の人物でした。

 

 また、本作で素晴らしかったのは、「音」です。音の強弱を使い分けることで、物語に見事に緩急をつけています。無音になった時の緊張感が半端ではないです。さらに、やはり素晴らしかったのは終わり方。有名な仲代達矢との一騎打ちの果てに「あばよ!」と言い残し去るという何とも切れ味のある終わり方。やっぱいいですね。

2作目として文句無しの出来【ジュラシック・ワールド/炎の王国】感想

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81点

 

 

 現在、世界はもちろん、日本でも大ヒット中の本作。私は、前作は劇場で観なかったのですが、本作は観ました。形態はもちろんIMAX3D字幕。このために前作をレンタルして予習までしました。

 

これが前作の感想です。

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 実際に観てみて、色々と謎が解ける作品でした。3部作の2作目ということですが、「2作目」という意味において、本作は素晴らしい出来なのではないかなぁと思います。

 

 私が感じていた「謎」とは、タイトルです。何故、「パーク」から「ワールド」に変えたのか。本作でこれが完璧に解き明かされます。人間たちが「管理」していた恐竜たちが、人間の世界へと解き放たれる。だから、恐竜のいる世界=「ジュラシック・ワールド」なのだと。ラストが前作と対比的になっていて、前作は「ジュラシック・ワールド」でT-REXが雄叫びをあげるシーンで終わり、ジュラシック・ワールドを「自分たちの世界だ」と主張していました。しかし、本作ではそのT-REXは百獣の王、ライオンと対峙し、代わりにブルーが人間界を見下ろすシーンで終わっています。これは、これから恐竜が人間界で生息するのだという宣言でした。

 

 このように、恐竜たちが活躍するスケールは大きくなりましたが、肝心の恐竜との戦いの舞台は小さくなっています。前作は島全体でしたが、本作では人間の屋敷なのです。なので、本作では前作のようなショック演出よりも、ホラー演出の方が多く登場します。ただ、それが古典的なのは相変わらず。また、監督が代わったことで、人間が襲われるシーンがコメディっぽくなっておらず、単純に面白いパニックシーンになっていました。

 

 3部作の「2作目」というのは結構重要で、1作目で提示した要素を拡大させ、さらに3作目に繋ぐために伏線も張らなくてはいけません。しかも1作目の二番煎じに見えてはならない。本作はこれをちゃんとやれているんですよね。1作目の対比的に描いてもいるし、「恐竜との共存」の希望もブルーとオーウェンに託しています。これは凄いなぁと思いましたね。

 

 ただ、インドラプトルが暴走するまでの中盤が少し退屈。やはりこのシリーズは人間が恐竜に襲われてなんぼですから、人間側のドラマにはそこまでそそられないのですね。だから、暴走が始まってからは最高ですね。嫌な奴は、皆恐竜に食われるか頭突きされて退場しますから。

 

 このように、本作は、2作目としてやるべきことをやり、しかもちゃんと面白いという素晴らしい娯楽作でした。

「なりたい自分になれよ」じゃないんだ・・・【Mr.インクレディブル】感想

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87点

 

 8月に続篇である『インクレディブル・ファミリー』が公開されるので、復習として鑑賞。14年前にリアルタイムで映画館で観たのですが、未だに覚えているシーンが多々あったりしたし、なによりピクサーなので面白いだろうと思っていました。そして、実際に観てみたら宣伝文句ではなく、真の意味で子どもも大人も楽しめるという驚異の射程範囲を持った非常に完成度の高い作品でした。ただ、観ている分には非常に楽しめたのですが、前作『アイアン・ジャイアント』で大いに感動した自分としては、ちょっとモヤっとするところもありました。

 

 本作には2つの側面があります。「スーパーヒーローもの」としての側面と、「社会の中で生きる大人のドラマ」としての側面です。この2つを両立させ、尚且つ自身の作家性を前面に押し出しているのですから、ブラッド・バードは大したものです。この点だけだと、アイアン・ジャイアント』を超えている気がします。

 

 まず、「スーパーヒーローもの」としての側面についてですが、完全にアメコミヒーローの世界ですね。持っている能力が持ち主の性格や立ち位置を表していたり、作中の「ヒーロー規制」は近年では『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、古くはアラン・ムーア原作の『ウォッチメン』を彷彿とさせます。さらには、敵に捕らえられて悪事を見せつけられるなど、『007』シリーズからも引用しています。

 

 このように、本作には「スーパーヒーローもの」の要素がてんこ盛りなのですが、やっていることは我々と同じようなただのサラリーマン。主人公・ボブは「ヒーローの規制法」により、スーパー能力を隠して生きなければならなくなり、生きるために仕方なくサラリーマンとして働いています。そこでは過去の栄光など、何の役にも立ちません。ただクレームを受け、嫌みな上司の小言を聞き、精神をすり減らす毎日です。本当は自分には天性の才能があるのに、「社会の歯車として動く」ことでそれが潰されている。その才能が発揮できない。善行ができない。つまり、ミドルエイジ・クライシス(中年の危機)ですね。これは認められるまで随分時間がかかったというブラッド・バード監督自身を彷彿とさせます。中盤ではそんな怒りがどんどん溜まっていくので、社会人にはかなり胃が痛い内容です。

 

 この序盤の「疲弊しているサラリーマン」感が素晴らしいです。乗っている車はみすぼらしいし、顔には覇気がなく、家庭も若干不和。しかも、過去の栄光にすがるように未だに秘密裏に「ヒーロー活動」をしているわけです。ちょっと泣けてきます。

 

 しかし、だからこそ、中盤の自身の才能を活かせる職を見つけた後の変化が地味にリアル。車を変え、髪の色(字幕では”謎の金髪”と訳されていた)を変え、奥さんには積極的になるなど、目に見える変化が起こります。「去勢されていた男」が自信を取り戻した瞬間を見事に切り取ったシークエンスです。

 

 そして全てが終わり、自らの能力を肯定できるようになった彼らは、自己を肯定し、前向きになったことも印象的。このように、本作はスーパーヒーローものの皮を被っていますが、中身は結構シリアスな大人なドラマであるという、かなり良くできた映画でした。

 

 しかし、上述のように、モヤっときたことも確か。というのも、前作『アイアン・ジャイアント』との違いです。アイアン・ジャイアント』は「あるべき自分」ではなく、「なりたい自分になれよ」という話だったと思いますが、本作はどちらかと言えば「あるべき自分になれよ」という話な気がします。というのも、この家族は能力がありながら世間のせいでそれを発揮できず、結果的に分不相応な生活を強いられています。本作はそこから脱し、能力を活かすことで、ハッピーエンドを迎えるのです。では、本作において、「なりたい自分」になろうとしたのは誰だったか。シンドロームですね。まぁ、こいつは元からヤバい奴でしたけど、こいつに対して中々辛らつなんですよね。この映画。マントをしているからダメなヒーローですし。でも、前作的な話だと、こいつこそ何らかのドラマとかあっても良いと思うんだけどなぁ。いや、シンドロームは「才能を悪用した」という主人公のダークサイドなのかな。

 

 しかし、それでも本作がとてもよくできた映画なのは明白。監督の主張と全方位に向けたストーリーには感服します。次回作が楽しみ。

豊饒な画面で紡がれる、男女のパワー・ゲーム【ファントム・スレッド】感想

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95点

 

 初、ポール・トーマス・アンダーソン。予告やあらすじからはサイコ・スリラーな印象を受けた本作ですが、観てみるとそんなことはなく、ストレートな夫婦関係の物語であり、同時に今の世界的な潮流を含ませた作品でした。個人的には傑作認定です。

 

 本作の主人公、レイノルズ・ウッドコックはオートクチュールのデザイナー。彼は完璧主義者で、他人によって自らの心を搔き乱されるのを嫌う。そんな彼だから、女性にも全く興味はなく、あるとすればそれは「彼女自身」ではなく、「彼女の肉体」。これは性的な意味ではなく、「自身の服を完璧に着こなす理想的な体系という意味。故に彼は多くの女性と付き合っては分かれるということを繰り返してきました。しかし、それは痴情のもつれなどではなく、単純に「必要無くなったから」。そんな中、ある日レイノルズはアルマと出会う。本作はこのアルマという女性とレイノルズの夫婦間のパワー・ゲームの話です。

 

 レイノルズは一見、ハウス・オブ・ウッドコックの全てを掌握しているように見えます。アルマに対しても、全て「自分のルール」を強いようとします。しかし、本当の意味でハウス・オブ・ウッドコックを動かしているのは女性たちです。服を仕立てるのは主に女性がしていますし、レイノルズを支えているのも姉のシリル。彼女たちがいなければ、立ち行かなくなるでしょう。この構造を観て、私はこれは現実の社会と似ているなぁと感じました。現実でも一昔前は男性が幅を利かせているように見えましたが、その中身は結構な割合を女性の力が支えていました。ハウス・オブ・ウッドコックはこの隠喩なのかなと。こう考えると、レイノルズ自身は一昔前の「無自覚に社会の頂点だと思っていた男性」であり、本作における彼とアルマの立場が逆転していくという話は、男性社会が崩れつつある現代のフェニミズム的な動きと一致していると考えられます。

 

 また、このレイノルズの「完璧主義ぶり」は、ある人物を思い起こさせます。監督であるポール・トーマス・アンダーソン自身です。そもそも本作の話の発端が自分が病気のときに感じた恐怖らしいので、当たり前と言えば当たり前ですけど。

 

 これだけでも素晴らしいのですが、本作はとにかく美術が素晴らしい。画面がとても豊穣で、観ているだけで惚れ惚れするレベルの美しさです。しかも、服の仕立てのシーンも完璧に再現してくれたり、細かい所でも楽しめます。

 

 このように、本作は、スリラー的な要素もありながら、夫婦の愛の話でもあり、そして現代的な話でもあるなど、非常に多様な見方ができ、さらに美術も音楽も完璧という、文句の付け所が無い作品でした。

監督の妄想が炸裂したとても変な作品【未来のミライ】感想

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50点

 

はじめに

 『バケモノの子』以来、実に3年ぶりとなる細田守最新作。予告からは、甘えん坊のくんちゃんが、未来からやってきたミライちゃんと共に時空を超えた旅をして成長する話という印象を受けました。しかし、実際に観てみると、その内容は細田守監督の妄想が入り混じったホームビデオであり、それを98分間延々と見せられたのですから観客としては堪ったものではありません。

 

4歳児のアイデンティティ

 本作はオムニバス的に話が進みます。甘えん坊のくんちゃんが何かを”好きくない”となり、庭へ出るとファンタジーが展開されるというものです。それは都合4回起こり、犬、母親の昔の話、ひいじいじの話とどんどん過去へルーツを遡って行って、そして、最後に自身のアイデンティティの話になるのです。これらは過去の話でありながら、現在、くんちゃんに起こっている事と微妙にリンクしていて、くんちゃんの成長に繋がっていくエピソードもあります。多分、細田監督は、自分の子どもが何かができるようになった時のことを基に、妄想を付け加えて脚本を書いたのだろうなぁ。

 

 そして、これらのルーツを経験した後で、「東京駅」で迷子(=自分のアイデンティティを失う)となり、自分の力で「ミライちゃんのお兄ちゃん」というアイデンティティを得るのです。これは要するに、過去の親族の力を得て「今」の子どもであるくんちゃんが成長するということですから、ラストの「過去の人々の奇跡が折り重なって今の自分がある」という台詞をそのまま体現しています。

 

 こう考えてみると、本作は4歳の子どもが自身のルーツを遡って行った先にアイデンティティを得る話と言えると思います。ただ、ここにあるのは、細田守監督の相変わらずな血縁至上主義な家族像。庭の木はおそらく血縁の隠喩でしょうし、くんちゃんが出会い、成長するきっかけは皆親族。まぁ、これは4歳児が主人公という設定上、仕方がないのかもしれません。4歳児の世界など、保育園と家族くらいですから。ですが、最後の「自身のアイデンティティの確立」が「未来ちゃんのお兄ちゃん」という結論はどうなんでしょうね。これは、同じくカンヌで上映された『万引き家族』とは対照的であり、家族の概念が変わってきている今、これは中々に保守的な結論である気がしないでもないです。後は、相変わらずの金銭感覚の異常さですね。意図的なのか・・・な?

 

ホームビデオ

 これだけを読むと、保守的ではあれど、ストーリー的には問題が無いと思われるかもしれません。しかし、実際に観てみるとそのストーリーの中身に波が全くなく、特に、最初の雛飾りを仕舞うというくだりが壊滅的に詰まらない。ハラハラしないし、笑えもしない。また、映画全体も、話の筋よりかは「どうくんちゃんを活き活きと描くか」に注力しています。そして内容は「くんちゃんの成長の話」。つまり、本作はくんちゃんが世界をどう感じ、成長していく様が「細田監督の妄想で」描かれているのです。これではまるで「くんちゃんのホームビデオ」です。

 

 何故、このようなホームビデオになったのかと言えば、これこそが細田監督の今回の「疑問」だからだと思います。映画秘宝」のインタビューによれば、彼は特に『サマーウォーズ』以降、自身の悩みを作品に反映させてきました。「父親になれるのか」という悩みを『バケモノの子』に、「母親は自分をどう育てたのだろう」という疑問を『おおかみこどもの雨と雪』に、といった具合にです。そして、本作の疑問は「子どもは何を考えているのだろう」です。それを4歳の子に託しているのです。故に、こんな大して脈絡のない妄想映画になったのだと思います。

 

集大成?

 また、本作には、これまでの細田監督の要素が多々見受けられます。「父親になろうとする」くんちゃんのお父さんは、『バケモノの子』を、「母親になろうとする」くんちゃんのお母さんは『おおかみこどもの雨と雪』を、「血縁者が自らの力となる」ことは『サマーウォーズ』を、そしてラストのアレは「未来で待ってる」と言った『時をかける少女』を彷彿とさせます。故に、本作は『サマーウォーズ』以降、悩みを消化してきた監督の集大成的な作品とも言えます。

 

本作の問題点

 このように、細田監督は「作家」としては全く衰えておらず、むしろこれまで一番細田監督の色が前面に出ています。本作の問題点は、この監督の暴走を止められる人間がスタッフにいなかったことです。

 

 今でこそジブリに代わって東宝の夏休みを任されるほどの作家となった細田さんですが、作っている作品は大衆向け娯楽作ではなく、上述のように作家性の強いアート系作品で、『ONE PIECE』すら自身の作品に変えてしまっています。しかし、それでも多くの観客を動員し、一定の成績を出せたのは、脚本家が間に立っていたためだと思うのです。細田監督は『おおかみこどもの雨と雪』までは脚本を別の方に任せ、やや微妙な『バケモノの子』でも協力として他の人が入っていました。これにより、作家性が上手く中和されていたのだと思います。

 

 ですが、本作の脚本は細田監督1人。だからストッパーがおらず、こんな自己満足の塊みたいな映画ができたのだと思います。ただ、だからこそそこに一貫性が見えて、嫌いにはなれないのですが。

 

良かった点

 ここまで、微妙だった点を書きましたが、良かったところもいくつか。まず、「くんちゃんとミライちゃんの動き」についてはさすがの一言で、本物の子どものようです。だから、この動きだけで画面に引き付けられ、観ていられます。細田監督はインタビューで、「アニメには本当の意味での赤ちゃんがいない」と言っていましたが、本作のミライちゃんやくんちゃんの動きは、「本物」と見間違うくらいの素晴らしいものでした。

 

 さらに面白いと思ったのは、空間と時間の使い方です。「家の中で物語が進行する」という性質を活かすため、変わった構造の家を作ることで、くんちゃんの移動に面白味が出ています。そして、同ポの画面を入れることで季節感を出したり、それがラストで繋がってきます。こういう演出力はやっぱりさすがだなと。

 

おわりに

 本作は変な映画です。これを観て得をするのは、細田守自身くらいだと思います。間違っても夏休みのファミリー向け大作映画ではありません(まぁ元々そうなんだけど)。ただ、細田守を作家として追っていく場合、本作は必見の1本だと思います。

 

 

 細田守監督の代表的な作品。これは素晴らしい作品だと思います。

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映画は凄い!と思わせられる傑作!!【カメラを止めるな!】感想 ※ネタバレあり

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97点

 

 

はじめに

 本作を知ったのは、町山智浩さんの「アメリカ流れ者」でした。そこで彼が絶賛していたので、興味を持っていました。この時点では「時間があったら観るか」程度の興味でした。ですが、公開されてみたら評判が評判を呼び、劇場は毎回満席御礼状態で、評価は高くなる一方。そうなると気になるのが人情というもの。私の行動範囲内の映画館でようやく上映が開始したので、さっそく鑑賞してきました。

 

『ONE CUT OF THE DEAD』の衝撃

 結論として、めちゃくちゃ面白かったです。非常にウェルメイドな映画であると同時に、「映画」そのものの可能性も感じさせてくれる傑作でした。

 

 本作は2回始まります。劇中の番組『ONE CUT OF THE DEAD』、そして本編『カメラを止めるな!』の2本です。最初の『ONE CUT OF THE DEAD』ですが、これは正直、反応に困りました。それまで日常を送っていたのに、急にゾンビに襲われ、知ってる人間が1人1人ゾンビになっていく恐怖感とか、建物に立て籠もるとか、結局怖いのは人間とか、所謂「ゾンビもの」の定番は押さえているし、何より37分ワンカットというチャレンジングな試みは観ていて面白かったです。しかし、所々違和感があるのです。時々会話の中で変な間が出るし、その会話もぎこちない。しかも、脈絡なくストーリーが展開されます。しかもどんどん映画がヒートアップしていって、明らかにワンカットとして失敗だろうと思える事件が起こったりします。町山さんの解説を聞いていたので、これが二重構造のフェイクだということは分かっていたのですが、これをどう次に繋げていくのか全く見当がつかず、観ていて困惑しました。正直、最初は「学生が作った映画みたいだなぁ」と思っていたのですが、途中で「そういえばこれ、監督養成スクールの企画でできた奴なんだよなぁ」ということを思い出し、「だからこのクオリティなのか」と、絶賛されているにも関わらず、最後まで楽しめるか不安になってしまいました。

 

視点の切り替えによる笑い

 しかし、この違和感は全てこの後の展開のための種まきだったのです。この時抱いた違和感は、この次に始まる『カメラを止めるな!』で完璧に回収されます。この映画に変わったことで、映画のジャンルそのものもゾンビ映画」から映画製作の裏側のドタバタを描いた「喜劇」に変わり、場内は爆笑の渦に包まれます。

 

 この映画の笑いは、主に「視点の切り替わり」です。さっきまで我々が「ゾンビ映画」だと思っていたものが、視点を変えてしまえばこんなにも滑稽に見えるなんて、というギャップで笑わせているわけです。映画というものは、作り方で次第でいくらでも物事の捉え方を変えることができます。故に、この「視点の切り替わり」だけで笑わせるというのは、非常に映画的なんじゃないかなぁと思います。

 

 さらに、この構造がめちゃくちゃ効いています。この二重構造により、後半は前半の舞台裏を描いていますので、後半の時点で我々は「何が起こるのか」がもう分かっている状態なのです。なので、自然と関心が「あの時はどうやって撮ったんだ?」という点に集中するわけです。そして、その1つ1つが分かっていくにつれて、笑いと同時に、登場人物たちの情熱、そして狂気が浮かび上がってくるのです。そしてそれらが結実するのがラストの組体操。組みあがるまでは爆笑の渦でしたが、いざ完成したものが映ると、「みんなの力で映画を作っている」ことを画的に表現したシーンに見えて、泣けてきました。パンフレットを読むと、あそこは皆演技を忘れて組体操を必死にやっていたそう。だからかな。このシーンに代表されるように、本作にはいくつか「現実」が入ってきています。上述のトラブルシーンは本当にトラブルだったものを勢いに任せて撮り続けたからこそできたものらしいですし、真魚さん演じる真央は、本当に真央みたいな人らしいです。本作はこのようなトラブルすらも味方につけ「映画」にしてしまっているのです。

 

入り混じる「現実」と「映画」

 本作の「次元の層」も面白いなと思いました。本作には、いくつかの層があります。まず、冒頭の「ゾンビ映画」。そして、『ONE CUT OF THE DEAD』、そして『カメラを止めるな!』。さらに、『ONE CUT OF THE DEAD』を観ているプロデューサーたち。劇中だけで4つの層があります。さらに観客、制作陣も含めると6層です。面白いと思ったのは、観ているうちに、これらの層が入り混じっていく点です。

 

 冒頭の「ゾンビ映画」は『ONE CUT OF THE DEAD』と入り混じり、そしてこちらも『カメラを止めるな!』と入り混じります。『カメラを止めるな!』は初っ端から監督が役者として日頃の鬱憤を相手の役者にぶつけるという破壊行動(笑)をとることで崩れ、「晴美さんから逃げる」という劇中の出来事が「本当に」起こることで、映画が「現実」となります。そして、劇中のスタッフが本物の制作陣とダブります。さらに、プロデューサーの層が観客の視点と同化することで、この層の垣根も無くなっていきます。最終的に、全ての層が映画の中に取り込まれるのです。上述の破壊行動(笑)のときに監督が「本物をくれよ!」と言っていましたが、まさにそれが起こっているのです。

 

秀逸なドラマ

 さらに、ドラマ面にも抜かりが無く、本作には「何かを諦めてしまった人間がもう一度立ち上がって何かを成し遂げ、尊厳を取り戻す」という、きちんとドラマがあります。しかもそれを台詞に頼らず、ちょっとした仕草や小道具で語らせているあたりも超クール。タイトルである『カメラを止めるな!』には、序盤のワンカットの意味もあるのかもしれませんが、「何かを諦めるな!」という意味も持っているのかもしれません。だとしたら、なんて前向きな映画なんだ。

映画ファンにも観てほしい、個人的おすすめアニメ映画10選+α

・はじめに

  皆さんは、アニメはお好きでしょうか。このブログを読んでくださっている読者の皆様は既にご承知かと思いますが、私は大好きです。映画と同じく、アニメが無ければ日々の楽しみが減り、生きていく糧が無くなってしまうとすら思っています。しかし、映画もアニメも両方観ていると、ある違和感を覚えます。「アニメファンと映画ファンの隔たり」です。もちろん、両者の好みの対象は違います。なので、映画ファンがTVアニメを見ない、というのは分かります。しかし、アニメ映画もあまり観ないというのはどういうことなんだと思うのです。私自身もそこまで観られている方ではないのですが、アニメ映画の中には、実写の映画と比べても全く遜色のない出来の作品が多々あります。近年は『君の名は。』『聲の形』といった作品がアニメファン、映画ファン双方に多大な支持をされ、大ヒットを記録しました。

 

 ですが、それもその時限りで終了してしまった感があります。それを強く実感したのが『リズと青い鳥』の不入りです。私はFilmarksという映画アプリを使っているのですが、それを見る限りだと、あの作品を観ている人が結構少ないのです。しかも、その他でも話題にしているのはアニメ界隈のみで、映画界は『アベンジャーズ』の話ばかり。まぁ、『アベンジャーズ』は分かりますけど。もう少しぐらい話題になっても良いと思うんだけどなぁ。後、『夜明け告げるルーのうた』も不入りだったなぁ。

 

 で、これらのことはアニメファンにも言えると思っていて。アニメ映画として公開されても、ヒットを飛ばすのはサブカル的な意味でのアニメファン向けの作品で、所謂「映画」寄りな作品は小規模なヒットか、話題にもならずにひっそりと公開されるという状況があります。アニメだし、普通に面白いし、何で来ないのかなぁなんて思ったりもします。近年の『この世界の片隅に』くらいではないでしょうか。ただ、あれも騒がれたのは映画ファンの方面で、『君の名は。』とかと比べるとやや落ち着いてた気がしなくもないです。

 

 何か「はじめに」だけでやたら長くなってしまいました。とにかく、私がこの記事を書こうと思ったきっかけは、アニメ映画にも、映画ファンが観て面白い映画がたくさんあるよということを自分なりに伝えたいと思ったからなんですね。そのための10本を選ばせていただきました。ただ、選んだのは私の独断と偏見、かつ、有名な作品ばかりですので、「既に見たよ」という方も多いと思います。そうしましたらすみません。では、私的おすすめアニメ映画10選、発表です。なお、発表の順番は公開年代順とさせていただきます。

 

 

 

No.1【機動警察パトレイバー 劇場版】

 

機動警察パトレイバー 劇場版 [Blu-ray]

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あらすじ

1999年夏。自衛隊の試作レイバーが突如無人のまま暴走するという事件が発生する。しかし、それは相次ぐ事件のほんの幕開けに過ぎなかった!
何者かが仕掛けたコンピュータウイルスによって、都内各所で作業用レイバーが次々と暴走。警視庁特車二課第2小隊のはみだしポリスたちは、姿なき犯人を追ってこのメガロポリスを駆け抜ける!

 

 記念すべき『機動警察パトレイバー』劇場版第1作。抽象的で難解な作品が多い押井守監督作品の中で、数少ない万人に開かれたエンタメ作品。「日常」だと思っていたレイバーの暴走事件から大きな陰謀が明らかになり、それを阻止すべく仲間と共に最後の決戦へと向かっていくストーリーが本当に素晴らしい。アクション、特車二課のチームプレイなど、全ての要素がバランスよく詰め込まれた長篇アニメ映画の傑作です。

 

No.2【機動警察パトレイバー2 the Movie】

 

機動警察パトレイバー2 the Movie [Blu-ray]

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あらすじ

 2002年冬。横浜ベイブリッジに謎のミサイル投下…!
報道はそれが自衛隊機であることを告げるが、該当する機体は存在しなかった。これを機に続発する不穏な事件は警察と自衛隊の対立を招き、事態を重く見た政府は遂に実戦部隊を治安出動させる!! 東京に〈戦争〉を再現した恐るべきテロリストを追って、第2小隊最後の出撃が始まる!

 

 一大娯楽作品だった前作と比べ、押井守監督の色が前面に出た作品。特車二課の面々はあまり出ず、後藤隊長と南雲隊長がメインとなって活躍しますし、レイバー戦もほとんどありません。ですが、事件解明のために動く2人の姿を観ていくだけで楽しめます。終始続く、抑えた緊張感でグイグイ画面に引き付けられます。アクションは少ないものの、サスペンスとして超一級品な作品。

 

No.3【MEMORIES】

 

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あらすじ 

 『スチームボーイ』や『蟲師』などを手掛ける奇才・大友克洋監督が原作・総監督を務めたオムニバス集。シリアスなSF「彼女の想いで」、コメディタッチのパニックストーリー「最臭兵器」、全編ワンカットで制作された「大砲の街」の全3話を収録。

 

 上記のあらすじの通り、バラエティに富んだ3作が楽しめる作品。注目すべきはスタッフ。「彼女の想いで」は「千年女優」等の傑作で知られる今敏、「最臭兵器」は『DARKER THAN BLACK』等、アクション演出に定評のある岡村天斉、そして「大砲の街」は『この世界の片隅に』が一昨年大ヒットした片渕須直といったクリエイターが参加。故に一つ一つの完成度が半端ではなく高い。そんな作品が気楽に楽しめます。

 

No.4【アイアン・ジャイアント

 

 

あらすじ

 メイン州の小さな港町。
9歳の少年ホーガースは、森の中でとっても人なつっこい鋼鉄の巨人“アイアン・ジャイアント”を発見する。
自分が何者かも知らないアイアンは巨大な体を持て余した赤ん坊そのもの。たちまちホーガースはアイアンと友達になり、
ママに内緒で家の車庫にかくまうが、巨大ロボットを目撃したという噂が広まり、ついには政府のエージェントが派遣されてくる。
ホーガースは変わり者のディーンと協力して、アイアンを守ろうとうするが、彼はただのロボットではなく、
恐ろしい破壊力を秘めた戦闘兵器だったのだ-!

 

 8月に最新作『インクレディブル・ファミリー』が公開されるブラッド・バード監督が生み出した名作。粋なカットの連続で場面が繋がれ、ロボットと少年の交流を見事に描き切っている。「お前は銃なんかになるな、なりたい自分になれよ」。「あるべき自分(=兵器)」ではなく、「なりたい自分(=スーパーマン)」になることを決意したジャイアントのラストは涙なしには見られません。

 

 これは記事を書いたので、リンクを貼っておきます。

inosuken.hatenablog.com

 

No.5【デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!】

 

 

あらすじ

 デジタルワールドから子供達が帰ってきて数か月経った2000年の春休み。突如ネットに出現したデジタマから生まれた新種デジモンは、ネットに繋がるコンピュータのデータを食い荒らし、様々な機関を暴走させながら急速に進化。
世界を混乱に陥らせる謎の新種デジモンを止めるため、事態に気づいた太一、光子郎の二人は選ばれし子供達を集め、再び戦いへと乗り出すことになる。 

 

 今や(興行的な意味で)宮崎駿の後継者筆頭候補の1人となった細田守監督。彼の代表的な作品。40分という短いストーリーでありながら、テンポよく進み、且つメリハリのあるストーリー、キレのいいアクション、オメガモンのカッコよさ、等の要素が詰まった濃密なアニメ映画。『サマーウォーズ』と類似点が多々あるため、好きな人にもおすすめ。

 

No.6【映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲】

 

 

あらすじ

ある日、春日部で突然「20世紀博」というテーマパークが開催された。
昔のテレビ番組や映画、暮らしなどを再現し、懐かしい世界にひたれる遊園地に大人たちは大喜び。でも、しんのすけをはじめとする子供たちには、ちっとも面白くない。毎日のように夢中になって遊びに行く大人たち…。
そのうちにひろしは会社に行かなくなり、みさえは家事をやめ、しんのすけがひまわりの面倒をみる始末。実はこれは、“ケンちゃんチャコちゃん”をリーダーとするグループの、大人だけの楽しい世界を作って時間を止めてしまう、恐るべき“オトナ”帝国化計画だった!

 

 ここで紹介するのも恥ずかしいくらいの歴史的大傑作。「過去」を生き、そしてこれから「未来」へ向かう全ての人に捧げられた作品です。90分という短い尺ながら、1本の映画としても、クレしん映画としても素晴らしいというこの完成度。とにかく観てくれ。『戦国大合戦』も併せてどうぞ。

 

No.7【東京ゴッドファーザーズ

 

東京ゴッドファーザーズ [DVD]

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あらすじ

ギンちゃん、ハナちゃん、ミユキ---東京で暮らすホームレス3人組の前に、意外なクリスマスプレゼントがやってきた。ゴミの山から生まれたばかりの赤ちゃんを発見したのだ。勝手に”清子”と命名し、ゴッドファーザー(名づけ親)となった3人組は、雪降る街を、親を探してさまよい歩く。ウラ東京で、人生を生き抜くホームレスたちが、急転する「運命」の中で出会う〈奇跡〉とは。

 

 天才、今敏監督が生み出した、傑作人情コメディ。非常にウェルメイドで、随所でクスッと笑えるところがある。ラスト付近のカーチェイスからなだれ込むクライマックスが最高。巡り巡って起きた奇跡を「クリスマス」という時期によって問答無用に納得させる設定など、非常に秀逸。あらためて、今敏の死去が残念でなりません。

No.8【マインド・ゲーム

 

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あらすじ

初恋の幼なじみ、みょんちゃんに再会した西。彼女が姉のヤンと営んでいる焼き鳥屋に招待されたまではよかったが、
借金の取り立てにきたヤクザにあっけなく殺されてしまう。
しかし、将来に未練たっぷりの西は、神様に逆らって再び現世に舞い戻る。
とことんやると神様に誓った西は、ヤクザに追われて危機一髪のところで、今度はクジラに呑み込まれてしまう。
そこで出会ったじーさんはなんと、クジラの中で30年以上も暮らしていたのだった。

 

 湯浅政明第1回監督作。とにかくエネルギーに満ち溢れた作品。湯浅監督特有の「アニメーションの自由さ、爆発」が存分に楽しめる。でも、観終わった後は、世界をより肯定的に観られる、至極真っ当に前向きな映画です。

 

過去記事を貼っておきますね

 

inosuken.hatenablog.com

No.9【LEGOⓇムービー】

 

 

 あらすじ

  エメットは、どこにでもいるフツーの青年。なのに、なぜか伝説のヒーローに間違われ、レゴ(R)ワールドを支配するおしごと大王から、世界を救わなければならないハメに。でも、本人はヒーローの覚悟なんてゼロ。世界の終わりまであと3日…。家族みんなで楽しめるアドベンチャームービー。 

 

 「LEGOだから子供向けなんでしょ」そう思っている方にこそ観ていただきたい。これは大人が観てもワクワクし、笑い、最後には感動できる傑作です。しかもその「感動」がきちんとレゴに根差しているものなのが本当に素晴らしい。「住人A」が「ヒーロー」になる瞬間は何度見ても泣きます。

 

No.10【KUBO/クボ 二本の弦の秘密】

 

 

あらすじ 

 三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという、不思議な力を持つ少年・クボ。
幼い頃、闇の魔力を持つ祖父にねらわれ、クボを助けようとした父親は命を落とした。
その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。
父母の仇を討つ旅に出たクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。
やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知り―。
かつて母と父に何があったのか?三味線に隠された秘密とは?祖父である<月の帝>と相対したとき、全ては明らかとなる― 

 

 スタジオライカが制作したストップ・モーションアニメ。日本を舞台にした作品で、展開が昔話的な冒険活劇であったり、折り紙が重要な要素となっているなど、見逃せない設定ばかり。肝心のストップ・モーションもCGと見間違えるくらいのクオリティ。そして最後には、家族の「物語」になる感動作です。

 

過去記事張っておきますね。

inosuken.hatenablog.com

 

 

番外【リズと青い鳥

 

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あらすじ

宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美は、ともに3年生となり、最後となるコンクールを控えていた。コンクールの自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロパートがあったが、親友同士の2人の掛け合いはなぜかうまくかみ合わず……。

 

 これは今年(2018年)の作品ですが、例外的に入れました。『聲の形』『たまこラブストーリー』『映画 けいおん!』の山田尚子監督が生み出した超ド級の傑作。希美とみぞれの2人の少女の心の機微を濃密に描いた作品です。「2人の人間の心の機微を描いた作品」としては間違いなく頭2つは抜けてます。

 

私の感想はこんな感じ。

 

inosuken.hatenablog.com

 

 

 以上です。アニメ映画を観るときに参考になれば幸いです。